2011年5月28日土曜日

消化管救急 『腸閉塞 』

腸閉塞は、腸の内容物の通過が完全にふさがれているか、


重度の通過障害を来している状態をいいます。


閉塞は、小腸と大腸のどこにでも起こる可能性があります。


閉塞部から上部の腸は機能しています。


閉塞が起こると腸内の食べもの、水分、消化液、ガスなどが


詰まってしまうため腸が膨張し、腸粘膜が腫大して炎症を起こします。


この状態を放置しておくと、腸の破裂、腸の内容物の腹腔への漏出、


腹膜炎などを起こし、腹腔内での感染症に至ります。


新生児や乳児では、先天異常や腸内容物の硬いかたまり(胎便)、


腸のねじれ(腸捻転)などが原因で腸閉塞が起こります。


成人の十二指腸閉塞は、膵臓癌や潰瘍、古い手術、クローン病などによる瘢痕、


それに結合組織の線維帯が腸に巻きついて起こる癒着などが原因で起こります。


腹部筋肉の弱い部分などに異常な開口部ができ、


そこに腸の一部が脱出してヘルニアになり、詰まって腸が閉塞することもあります。


まれに胆石、未消化の食べもの、寄生虫のかたまりが腸管をふさぐこともあります。


大腸の閉塞は癌でよくみられます。


腹部の手術を受けたことがある人は、


術後の傷あとや瘢痕組織の結合(癒着)が原因で腸が閉塞しやすくなります。


硬いかたまり状の便(宿便)も腸閉塞の原因となります。


腸の閉塞によって腸への血流が絶たれれば、嵌頓(かんとん)と呼ばれる状態になります。


嵌頓は小腸閉塞患者の25%近くにみられます。


嵌頓は、腸壁の弱い部分から腸の一部が飛び出したまま元に戻らなくなったり(嵌頓ヘルニア)や、


腸がねじれたり(腸捻転[ちょうねんてん])、


腸が別の腸管の中にのめりこんだり(腸重積)することから生じます。


いずれの状態も6時間もすると腸が壊疽(えそ)を起こします。


壊疽が生じると、腸壁が壊死(えし)して腸の破裂や腹腔内膜の炎症(腹膜炎)、


感染症へと進行します。


この場合、適切な治療を受けなければ死亡します。





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2011年5月27日金曜日

消化管救急 『腹部膿瘍 続き』

診断 治療


膿瘍は、それほど重度でない疾患と症状が似ているために誤診されがちです。


膿瘍があれば血液検査で白血球数が異常に増加していることがわかります。


X線検査をはじめ、超音波検査、CT検査、


MRI検査などの画像診断によって膿瘍と他の疾患(たとえば腫瘍や嚢胞)を鑑別し、


その大きさと位置を確認します。


しかし腫瘍と膿瘍は症状が同じで画像検査でも同じようにみえることもあるので、


その場合は膿のサンプルを採取したり手術で膿瘍を摘出して、


顕微鏡で調べる鑑別診断を必要とすることもあります。


腹部膿瘍がある人のほとんどは、


手術または皮膚から針を穿刺(せんし)して排膿します。


針を穿刺する位置の確認にはCT検査や超音波検査が使用されます。


排膿と並行して、感染症の拡大を防ぎ消滅させるために抗生物質が投与されますが、


抗生物質は、膿を検査して起因菌を同定してその細菌に最も有効なものが選ばれます。


抗生物質の投与だけで治ることはほとんどなく、排膿は必ず行われます。














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消化管救急 『腹部膿瘍 』

膿瘍(のうよう)とは膿(うみ)がたまった状態をいい、


細菌感染症が原因で起こります。


腹部膿瘍は横隔膜の下部や腹部中央部、


骨盤、腹腔の後部などに形成されます。


また腎臓、脾臓(ひぞう)、膵臓(すいぞう)、


肝臓、前立腺などの内臓周囲にも形成されます。


膿瘍は外傷、腸管の感染症や破裂、


腹部臓器の感染症などが原因となります。



原因と症状


横隔膜下の膿瘍は、虫垂の破裂によって細菌を含んだ体液が流出し、


これが腹部臓器の圧力で上に押されたり、


呼吸時の横隔膜の上下動で吸い上げられて形成されます。


症状はせき、呼吸時の痛み、どちらか一方の肩の痛みがあります。


この肩の痛みは関連痛と呼ばれるもので、


肩と横隔膜が同じ知覚神経分枝に支配されているので、


実際には生じていない肩の痛みが生じていると脳が誤解するために起こる症状です。


腹部中央部の膿瘍は、虫垂の破裂、腸の破裂、腸管の炎症、


憩室炎、腹部の外傷などが原因で生じます。


のとき膿瘍のある部位に腹痛が感じられます。


骨盤膿瘍は腹部中央部の膿瘍と同じ原因で生じたり、


婦人科系の感染症も原因となります。


腹痛、腸が刺激されるために起こる下痢、


膀胱刺激による尿意切迫感や頻尿などが主な症状です。


腹腔後方にできる膿瘍は、腹膜の後部にできる膿瘍(後腹膜膿瘍)です。


腹膜とは腹腔と腹部臓器を覆っている膜のことです。


原因は他の腹部膿瘍と同じで、虫垂の炎症と感染症(虫垂炎)、


膵臓の炎症と感染症(膵炎)です。


背部痛があり、脚の付け根を動かすと痛みが強くなります。


膵臓の膿瘍は、主に急性膵炎の発作後に形成されます。


膵炎が回復してから1週間かそれ以上たった後に発熱、腹痛、吐き気、嘔吐などの症状が現れます。


肝臓の膿瘍は細菌やアメーバ(単細胞寄生虫)が原因で起こります。


細菌は、感染した胆嚢、穿孔や打撲などの外傷、


近くの膿瘍が広がって起きた腹部の感染症から肝臓に到達したり、


別の感染部位から血流に乗って肝臓に達します。


症状は食欲不振、吐き気、発熱です。


腹痛はある場合とない場合があります。


脾臓の膿瘍は細菌が血流に乗って脾臓へ達した感染症、脾臓の外傷、


横隔膜下など近くの膿瘍が広がって起きた感染症などが原因です。


腹部の左側、背部、左肩が痛みます。







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2011年5月26日木曜日

消化管救急 『消化管出血 続き』

消化管出血 治療


消化管出血を起こした人の80%以上が自然に止血します。


出血が止まらない場合や突然大量の出血をした人は入院する必要があり、


多くは集中治療室で治療を受けます。


大量の失血があれば静脈から輸液を行い、


輸血も必要になるでしょう。


輸血後は脈拍の上昇、血圧降下、


吐血や下血などの出血が続いていることを示す徴候がないかを厳重に監視します。


食道静脈瘤からの出血の治療にはいくつかの方法があります。


1つは、内視鏡を使って出血血管に刺激性の化学物質を注射し、


静脈に炎症や瘢痕(はんこん)を生じさせて止血する方法です(硬化療法)。


もっとよく行われる方法は、内視鏡を使って静脈瘤を輪ゴムで縛り、


血流を止めて静脈瘤を消失させる治療法です(内視鏡的結紮術)。


さらに、今ではあまり行われませんが、


口から食道の中までしぼんだバルーンのついたカテーテルを差しこみ、


出血部でバルーンをふくらませ、


静脈瘤を圧迫して止血する方法があります(食道タンポナーデ)。


胃からの出血には、内視鏡を使った処置で止血します。


これらの処置には、


高周波電流を通電して出血部位を焼灼したり(電気焼灼法)、


血管内に血液凝固薬を注入したりします。


このような治療法で効果が認められなければ手術をします。


下部消化管の出血は、


急激に大量の失血がなければ緊急を要することはありません。


内視鏡や核医学検査で出血源を特定し、


出血が止まらなければ手術を実施することもあります。













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消化管救急 『消化管出血 続き』

消化管出血 診断


症状と採取した便サンプルの検査結果から消化管出血を疑います。


便に出血が認められない場合は試薬(グアヤク)を用いた便潜血反応検査を行います。


胃の内容物の検査も必要ですが、嘔吐物を調べられなければ、


口から胃までチューブを入れて内容物を採取します。


出血があったことや現在も出血していることが確認されたら、


直腸を触診し、たとえば痔核や直腸裂傷、腫瘍(しゅよう)などの出血源を探します。


次に種々のX線検査と内視鏡検査を行いますが、


どちらの検査を行うかは出血源が上部消化管(食道、胃、十二指腸)であるのか、


下部消化管(下部小腸、大腸、直腸、肛門)であるのかによって変わってきます。


どういう症状があって出血したのかがわかれば、原因の特定に役立ちます。


食事を取ったり制酸薬で痛みが軽減する場合は、


潰瘍(かいよう)によることが多いのですが、


出血性潰瘍では痛みがないこともしばしばあります。


アスピリンやその他の非ステロイド性抗炎症薬も胃粘膜を傷つけるため、


これらの薬の服用の有無を確認します。


はっきりとした理由もないのに食欲不振や体重減少を伴って出血が認められれば、


癌(がん)を疑います。


嚥下(えんげ)困難のある人には、食道狭窄があるかどうかを調べます。


癌が原因で狭窄を起こしている可能性があるからです。


出血直前の激しい吐き気と嘔吐があれば食道破裂が考えられますが、


食道破裂患者の約半分は出血前の吐き気や嘔吐は認められません。


出血や潜血便に伴って便秘や下痢が生じたり悪化した場合は、


下部消化管の癌やポリープのことが多く、


この傾向は特に45歳以上の人にみられます。


便の表面に鮮血が付着していれば、


直腸癌または痔核などの直腸の病気が原因でしょう。


その人がもともとかかっている病気がわかれば、


出血の原因を特定するのに役立ちます。


たとえば肝臓の病気がある場合は、


胃や小腸に動静脈奇形や食道静脈瘤が発生しやすくなります。





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消化管救急 『消化管出血 続き』

消化管出血 症状


消化管出血では、血を吐いたり(吐血)、黒いタール便(メレナ)が出たり、


直腸から出血する(血便)、などの症状がみられます。


黒色便は普通、胃や十二指腸といった上部消化管出血が原因で、


たとえば胃から出血した血液が胃酸や酵素で酸化されるため便が黒くなります。


上部消化管内でいったん大量の出血が起きれば、


黒色便が1週間ほど続きます。


つまり黒色便が続くからといって消化管内で出血がずっと続いているわけではありません。


少量の、または断続的な出血が続くと貧血が起こりやすく、


疲れやすく顔は青白くなります。


このような症状がなくても、


横になった後に座ったり立ったりしたときに血圧が急激に下がることもあります。


大量で急激な失血の場合は、脈が速くなる、


低血圧、尿量の減少などの症状が出現します。


手足は汗ばんで冷たくなります。


出血によって脳への血液供給が減るため、意識混濁、見当識障害、


眠気を引き起こし、ひどくなればショック状態にも陥ります。


大量の失血による症状は、ほかに病気があるかどうかによって異なります。


たとえば冠動脈疾患のある人が出血すると、


突然の胸痛(狭心症)や心臓発作の症状を来します。


心不全、肺疾患、腎不全などがある場合も出血によって症状が悪化します。


肝疾患がある場合は、腸管の出血が起こると、


腸内で発生した毒素が肝臓で解毒されずに血液中にたまって脳へ運ばれ、


肝性脳症を引き起こします。


その結果、人格や意識レベル、知的能力などの変化をもたらします。






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消化管救急 『消化管出血』

消化管の疾患の中には手術などの緊急の治療を要する致死的な病気が多くあります。


特に激しい腹痛は、多くの場合、緊急の処置が必要となります。


腹痛があればまず原因を突き止め、治療の目的で緊急の開腹手術をすべきか、


あるいは診断および検査結果が出るまでは手術を待つべきかが判断されます。


腹部の緊急手術が行われるケースとしては、


腸管の閉塞に伴う激しい腹痛、胆嚢(たんのう)、


虫垂、腸などの臓器の破裂、膿瘍(感染症によって膿がたまった状態)などが挙げられます。




消化管出血



出血は口から肛門までの消化管のどの部位にも起こる可能性があり、


その原因はさまざまです。



出血は便や嘔吐物の中に混じって見えるものもあれば、


検査で確認しなければわからないもの(潜在性)もあります。


動脈と静脈との異常な連絡(動静脈奇形)は胃や小腸、大腸にできます。


このような異常血管はもろくて破裂しやすく、


出血がだらだら続くこともあります。


特に高齢者では大出血を起こすことがあります。


食道の静脈が拡張して蛇行した食道静脈瘤(じょうみゃくりゅう)は、


血管がもろいため出血しやすくなっています。


アスピリンやその他の非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)といった薬は、


消化管を刺激して出血をもたらすこともあります。


また血液が固まらないようにする薬(抗凝固薬)や


一度固まってしまった血液を溶かす薬


(ストレプトキナーゼや組織プラスミノーゲン・アクチベータといった血栓溶解薬)


を服用している場合も消化管出血を起こすことがあります。





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