2012年8月7日火曜日

統合失調症 Ⅳ

統合失調症  経過の見通


統合失調症の治療では、


患者が治療の指示をきちんと守ることがきわめて重要です。


薬物療法をしないと、


70~80%が診断時から1年以内に統合失調症の症状を再発します。


継続的に薬を服用すると、再発率は20~30%程度に下がり、


症状は大幅に少なくなります。


退院後、


処方薬を服用しない人では1年以内に再入院する確率が非常に高くなりますが、


指示通りに服用すると、再入院率が驚くほど低くなります。


このように、薬物療法の有効性は証明されているにもかかわらず、


統合失調症の人の半数が処方薬を服用しません。


自分が病気であるという認識がないため服用を拒む人もいれば、


不快な副作用を嫌って服用しなくなってしまう人もいます。


記憶障害、支離滅裂な思考、


あるいは単に経済的理由から薬の服用をやめてしまうケースもあります。


患者が薬物療法の指示を守れるようにするには、


指示通りに服用することの妨げになっている問題を取り除くのが最良の方法です。


薬の副作用が問題の場合には、別の薬に替えるとよいでしょう。


医師や心理療法士と一貫した信頼関係ができると、


自分の病気を受け入れやすくなり、


治療に関する指示をきちんと守ることの必要性を認識するようになります。


長期的にみると、統合失調症の経過の見通しはさまざまです。


一般に、3分の1に顕著で持続的な改善がみられ、


3分の1には断続的な再発や残存する能力障害はあるもののある程度の改善がみられ、


残りの3分の1が重度で永久的な無能力の状態となります。


良好な経過の見通しに関連する要因としては、


突然の発症、発症年齢が高い、発症前の能力や業績が高レベル、


陽性症状(産出的な症状がみられる非欠陥性の亜型)などがあります。


経過の見通し不良に関連する要因としては、発症年齢が低い、


発症前の社会的機能や職業的機能が低い、統合失調症の家族歴、


陰性症状(非産出的な症状の、欠陥性の亜型)などがあります。


統合失調症の人のおよそ10%が自殺します。





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2012年8月6日月曜日

統合失調症 Ⅲ

合失調症のタイプ


統合失調症を単一の障害と考える研究者もいれば、


多数の障害がその基礎にある症候群(症状の集まり)と考える研究者もいます。


明確なグループに細かく分類する試みとして統合失調症の亜型が提案されていますが、


個々の患者の亜型が時とともに変化することもあります。


妄想型の統合失調症は妄想や幻聴にとらわれるのが特徴で、


支離滅裂な会話や不適切な感情はあまり顕著ではありません。


破瓜(はか)型または解体形の統合失調症は、


支離滅裂な会話と行動、


平板あるいは不適切な感情を特徴としています。


緊張型の統合失調症は、じっと動かない、やたらと動き回る、


あるいは奇妙な姿勢を取るといった行動が特徴的です。


分類不能型の統合失調症は、妄想と幻覚、思考障害と奇異な行動、


陰性症状など、異なる亜型の症状が混在するのが特徴です。


統合失調症 診断


統合失調症の診断の決め手となる検査はありません。


既往歴や症状を総合的に評価して診断します。


症状が最低6カ月続き、仕事、学業、


社会機能に顕著な低下がみられることが診断の必須条件です。


家族、友人、教師などからの情報は、発症時期を特定するのに重要です。


臨床検査を行って、


精神病性の症状を引き起こす可能性のある薬物などの乱用の有無や、


内科疾患、神経疾患、内分泌系の疾患などが基礎にないかどうかを調べます。


そのような疾患の例として、脳腫瘍(のうしゅよう)、


側頭葉てんかん、甲状腺疾患、自己免疫疾患、ハンチントン病、


肝臓病、薬物の副作用があります。


薬物乱用の有無を調べる検査を実施するのが妥当とされる場合もあります。


統合失調症の人の脳に異常があり、


それがCT検査またはMRI検査で検出されることがあります。


ただし、その異常は統合失調症の診断に役立つほど特異的なものではありません。


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2012年8月5日日曜日

統合失調症 Ⅱ

統合失調症  症状


統合失調症は、突然発症することもあれば、


数日から数週間かけて発症することもあり、


また何年にもわたって徐々に水面下で発症していくこともあります。


重症度と症状のタイプは人によって異なりますが、


多くの場合、仕事、対人関係、


身の回りのことをする能力が損なわれるほど重度の症状が生じます。


中には、精神機能が低下した結果、


ものごとに注意を払う能力、


抽象的に考える能力、


問題を解決する能力が損なわれる場合もあります。


精神の損傷の重症度が、


統合失調症になった人の全般的な能力障害の主な決定要因となります。


多大な緊張を強いられる出来事といった環境的ストレスが引き金となって症状が現れ、


悪化することがあります。


マリファナなどの薬物も、症状の引き金となったり、


症状を悪化させたりします。


全体的にみて、統合失調症の症状は大きく分けて、


陽性症状(非欠陥症状)、陰性症状(欠陥症状)、


認知障害の3種類になります。


3種類のすべてに該当する症状がある人もいれば、


いずれか1~2種類の症状だけの人もいます。


陽性症状には、妄想、幻覚、思考障害、


奇異な行動などがあります。


妄想は誤った信念のことで一般に、


知覚や体験の誤った解釈に関係しています。


たとえば、被害妄想がある人は、いじめられている、


後をつけられている、だまされている、


見張られているなどと思いこみます。


関係妄想では、本、新聞、


歌詞などの1節が特に自分に向けられていると思いこみます。


人は自分の心が読める、


自分の考えが人に伝わっている、


外部の力によって考えや衝動が自分の中に吹きこまれているなどと思いこむ


思考奪取や思考吹入という妄想もあります。


音、視覚、におい、味、


感触についての幻覚が生じることがありますが、


最も多いのは音の幻覚(幻聴)です。


自分の行動に関して意見を述べる声、互いに会話する声、


あるいは批判的で口汚いことを言う声などを「聞く」ことがあります。


思考障害とは思考が支離滅裂になることをいい、


話にとりとめがなく、話題が次々に変わり、


何を言いたいのかわからない意味不明な会話をします。


話すことが多少混乱している程度の場合もあれば、


完全に支離滅裂で理解できない場合もあります。


奇異な行動は、子供のようなばかげた行為、興奮、


不適切な外見、不衛生、不適切な行動などの形で現れます。


奇異な行動の極端な形をカタトニー(緊張病)といい、


一定の姿勢を崩さず、


周囲の人が体を動かそうとすると強い抵抗を示したり、


逆に目的のない非誘発性の体の動きをみせたりします。


陰性症状とはそれまであった性質や能力が失われる症状で、


感情鈍麻、会話の貧困、快感消失、社会性の喪失などがあります。


感情鈍麻とは感情が平板化することです。


表情に動きがなく、人と目を合わせず、


感情表現が欠如します。


普通の人なら笑う、あるいは泣くような状況でも、


何の反応も表しません。


会話の貧困とは、


思考の低下により言葉数が少なくなることをいいます。


質問に対する返答は1語か2語と短く、


内面の空虚さをうかがわせます。


快感消失とは楽しいと感じる能力が低下することで、


以前は楽しんでやっていたことに興味を失い、


無目的なことに時間を費やします。


社会性の喪失とは、他者とのかかわりに興味を失うことです。


これらの陰性症状は、全般的な意欲喪失、目的意識の欠如、


目標の喪失としばしば関連しています。


認知障害とは、集中力、記憶力、整理能力、計画能力、


問題解決能力などに問題があることをいいます。


集中力が欠如しているために、本が読めなかったり、


映画やテレビ番組のストーリーが追えなかったり、


指示通りにものごとができなかったりします。


また、注意が散漫になり、1つのことに集中できない人もいます。


その結果、細部まで注意が必要な仕事、複雑な作業、意思決定ができなくなります。



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2012年8月4日土曜日

統合失調症

統合失調症


統合失調症は、現実との接触喪失(精神病性の症状)、


幻覚(主に幻聴)、妄想(誤った思いこみ)、


異常思考、感情の平板化(感情の幅が狭い)、意欲の欠乏、


職業的・社会的機能の低下などを特徴とする精神障害です。


統合失調症は世界中でみられ、


精神の健康上の重大な問題となっています。


親からまさに独立していく年代の若者に発症することが多く、


生涯続く能力障害に至る可能性があります。


本人の人生に及ぼす影響や経済的損失からみても、


統合失調症は人類を苦しめる最悪の障害の1つとされています。


世界保健機関(WHO)によると、


統合失調症は全世界における能力障害の原因として第9位を占める病気です。


地域によって平均よりも高率または低率なところがありますが、


平均すると人口の約1%に統合失調症がみられます。


発症率に男女の差はありません。


統合失調症はアルツハイマー病や多発性硬化症より多くみられる病気です。


統合失調症では症状になじみがないために治療を受けるのが何年も遅れる場合があり、


発症時期の特定が難しいことがよくあります。


統合失調症の平均的な発症年齢は、男性で18歳、女性で25歳です。


小児期や青年期初期に発症することはあまりありません。


年をとってから発症することもあまりありません。


社会的機能の低下は、薬物などの乱用、貧困、


ホームレスの原因となります。


治療を受けたことがない統合失調症の人が、


家族や友人との接触を失って、


都市部の路上で生活していることもあります。


統合失調症 原因


統合失調症の正確な原因は不明ですが、現在の研究では、


遺伝的要因と環境的要因が組み合わさって起こる可能性があるとみられています。


しかし、根本的には生物学的な問題であり、


親の育て方が悪かったり、


精神衛生的に不健全な環境で育ったりしたことが原因で起こる障害ではありません。


一般の発症リスクが1%であるのに比べて、


統合失調症の親や兄弟姉妹をもつ人のリスクは約10%です。


一卵性双生児の1人が統合失調症だと、


もう1人の発症リスクは約50%になります。


これらの数字は遺伝的なリスクの存在を示しています。


このほか、(1)妊娠中期(13~24週)のインフルエンザ感染、

(2)分娩中の低酸素状態、

(3)出生時の低体重、

(4)母体と胎児の血液型不適合など、


出産前後や分娩中に発生した問題が原因となることがあります。


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2012年8月3日金曜日

健忘関連障害!『離人症性障害』 Ⅱ

離人症性障害 治療 経過 見通 


離人症性障害の多くは、


治療しなくてもよくなることがあります。


障害が持続性または再発性の場合や、


本人の苦痛を伴う場合に限り治療を行います。


力動的心理療法、行動療法、



催眠療法が効果を示したとの報告があります。


鎮静薬や抗うつ薬も有効な場合があります。


離人症性障害は、他の精神障害に伴って生じたり、


他の精神障害が引き金となって起こる場合も多く、


このような場合も治療が必要です。


何らかのストレスが発症にかかわっている場合には、


その対処も必要となります。


治療により、通常はある程度の効果が得られます。


多くの人が完全に回復し、


特に発症に関連するストレスが治療中に突き止められた場合には、


ほぼ確実に回復します。


治療を行ってもあまり効果がみられない人もいますが、


やがて自然に快方へ向かう場合もあります。


どんな治療でも効果がみられない人も、


少数ながら存在します。


























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2012年8月2日木曜日

健忘関連障害!『離人症性障害』

離人症性障害


離人症性障害の人は、持続的に、あるいは反復的に、


自分の体や精神機能から遊離している感覚があり(離人症)、


自分の人生を外側から観察しているように感じる点が特徴です。


離人症は不安や抑うつに次いで3番目によくみられる精神症状で、


事故、暴行、重大な病気、けがなど、


生命を脅かす危険な事態を経験した後にしばしば起こります。


離人症性障害についてはあまり研究が行われていないため、


その原因や発生率は今のところ不明です。


離人症性障害 症状 診断



離人症性障害の人は、自分のアイデンティティ(自己同一性)、


肉体、人生についての認識にゆがみがあり、


そのために落ち着かない気分になります。


症状は一過性のこともあれば、何年間も続いたり、


あるいは繰り返し生じる場合もあります。


この障害をもつ人の多くが自分の症状をうまく表現できず、


自分は正気を失うのではないかと恐れたり、思いつめたりします。


離人症性障害は、軽微で一時的な障害で、


目につくような行動への影響はほとんど現れない場合もあります。


中には自分の障害に適応し、


その影響を押しとどめることができる人もいます。


一方、自分の精神状態についての不安に絶えず苦しめられ、


正気を失うのではないかと心配し、


自分の体についてのゆがんだ認識や、


自分自身と周囲からの離脱感について思い悩む人もいます。


精神的苦悩が高じたために、何もできなくなる場合もあります。


離人症性障害は、その症状に基づいて診断されます。


まず各種の検査を行って、


体の異常(けいれん性疾患など)、薬物の乱用、


他の精神障害の可能性がないことを確かめます。


心理検査や特殊な面接法が診断に役立つ場合もあります。



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2012年8月1日水曜日

健忘関連障害!『解離性 同一性障害』 Ⅴ

解離性同一性障害と小児期の虐待


解離性同一性障害の成人の約97~98%は、


小児期に虐待されていたと報告しています。


虐待の事実は、解離性同一性障害の成人の85%、


小児と青少年の95%で立証されています。


小児期に受けた虐待が解離性同一性障害の主な原因の1つであることは確かですが、


こんな仕打ちを受けたと本人が強く主張する個々の虐待が、


すべて必ずしも本当にあったとは限りません。


報告された虐待体験の中には、


明らかに正確性に欠けるものも混じっています。


また、虐待されたという事実はまったくない人で、


幼少時に体験した親の死などの重大な喪失や重い病気など、


大きな精神的重圧のかかる経験が障害の原因になっている場合があります。