痛み:筋肉に十分な血液が供給されず、虚血状態にある場合、
筋肉は血液中から十分な酸素を取りこむことができません。
さらに、組織から血液中に移行すべき老廃物が蓄積します。
その結果、けいれんが起こります。
心臓に十分な血液が供給されないと、胸に締めつけられるような圧迫感を感じます。
しかし、痛みや不快感の感じ方や位置、その程度は人によって非常に異なります。
中には、血液の供給が不十分でも、まったく痛みを感じない人もいます。
この病態を無症候性虚血と呼びます。
他の筋肉、特にふくらはぎの筋肉に十分な血液が供給されないと、
運動中に圧迫感や疲労感を伴う筋肉の痛みを感じます。
心臓を包む心膜の炎症では、横になると悪化し、座ったり前かがみになると軽くなる痛みが生じます。
運動時に痛みが悪化することはありませんが、深呼吸をすると悪化します。
肺を覆う胸膜の炎症(胸膜炎)でも、深呼吸時に痛みがひどくなります。
動脈疾患では、身体活動に関係なく、急激に起きては消える鋭い痛みを感じます。
動脈の壁の伸びた部分がふくらんだ動脈瘤や、動脈の壁の層がはがれる動脈解離によって、
突然、激しい痛みが生じます。
この痛みは損傷した血管の位置によって、首の後ろ、肩甲骨の間、背中の下側、腹部などに感じます。
左心房と左心室の間にある僧帽弁が、左心室の収縮時に左心房の内部へと反転することがあります。
この障害は僧帽弁逸脱と呼ばれ、ときに短時間、刺すような痛みや針でつついたような痛みが起こります。
普通、この痛みは姿勢や身体活動にかかわらず、左胸の下側に感じます。
息切れ:息切れは、心不全でよくみられる症状です。
息切れは、体液が肺の胸膜腔内ににじみ出すために生じ、
これを肺うっ血あるいは肺水腫といいます。この過程は、水におぼれているときと同じです。
心不全の初期では、息切れが起こるのは運動中だけです。
心不全の悪化につれて、息切れはわずかな身体活動でも起こるようになり、
やがて安静時にも起こります。
安静時の息切れは、ほとんど横になっているときに起こりますが、
これは肺の組織から体液がにじみ出てくるためです。
起き上がると、重力によって体液が肺の底部に集まるため、息切れが軽減します。
夜間の呼吸困難は、夜横になっているときに生じる息切れで、
起き上がって脚をブラブラさせると楽になります。
夜間の呼吸困難がある場合は、体が水平にならないように枕などで上体を高くすると、楽に眠れます。
息切れは冠動脈疾患でも起こります。この場合の息切れは普通、運動中に起こりますが、
重症の場合、最小限の身体活動でも、安静時でも起こることがあります。
息切れはまた、肺疾患、呼吸筋の障害、呼吸を妨げる神経系の障害などによっても生じます。
酸素の需要と供給の間の正常で微妙なバランスを崩すあらゆる疾患が息切れを起こす可能性があります。
たとえば、貧血では赤血球の数が少なくなるため、
十分な酸素を運ぶことができなくなり、息切れが起こります。
2009年9月13日日曜日
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