オピオイド鎮痛薬は、それぞれ異なる長所と短所をもっています。
これらの薬の原型であるモルヒネは、経口または注射によって投与します。
経口薬には、徐放型と即放型との2種類があります。
徐放型は形状により痛みを緩和するのが8~24時間と異なります。
これらの薬は慢性の痛みの治療に使われています。
即放型は短時間痛みを緩和し、通常は3時間未満です。
注射薬では、経口薬と比べて必要とされるモルヒネ量の2分の1から6分の1に減らすことができます。
なぜなら経口投与されたモルヒネは、その多くが血流に入る前に肝臓で代謝され化学的に変化してしまうからです。
通常は投与経路によって必要とされる薬の量が違いますが、その効果は変わりません。
注射薬は経口薬よりも効果が早く現れますが、長くは続きません。
モルヒネは静脈注射、筋肉注射、皮下注射で投与されます。
静脈注射ではすぐに痛みを和らげますが、効果は長くありません。
筋肉注射では緩和は少し遅れますが、効果はいくぶん長く続きます。
皮下注射は効果が現れるのが一番遅いですが、その効果は一番長く持続します。
注射では2~3時間おきに投与しますが、注射の繰り返しは面倒です。
そこでカテーテルを静脈または皮下に挿入し、それを連続注入ポンプに接続してモルヒネを持続的に投与します。
持続投与では必要に応じてさらに用量を補充できます。
中には、患者自身がスイッチを押して薬の量をコントロールできるようにした器具もあります。
この技術は、患者制御鎮痛法(PCA)と呼ばれています。
通常は重大な病気による激しい痛みがある患者に使用します。
オピオイドは急性の痛みの管理にも欠かせません。
たとえば、手術後の痛みには通常オピオイドが処方されます。
痛みが激しくなる前に、2?3時間おきに投与するのが最も効果的です。
痛みが一時的に悪化した場合、患者が体を動かす必要がある場合(動くとさらに痛みが増します)、傷口の包帯を交換しようとする場合は、用量を増やしたり他の薬(非ステロイド性抗炎症薬[NSAIDs]など)を追加投与します。
痛みが楽になったら、医師はオピオイドの用量を減らして、アセトアミノフェンなどの非オピオイド鎮痛薬を処方します。
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2011年9月13日火曜日
脳・脊髄・神経の病気『痛みの治療』 ②
オピオイドはしばしば、特に高齢者では便秘や尿の貯留を引き起こします。
センナのような刺激性の緩下薬が、便秘の予防や症状の緩和に役立ちます。
また水分を多く取ることも有用です。
痛みと一緒に吐き気を催す場合がありますが、オピオイドは吐き気を増進させることがあります。
経口、座薬、注射のいずれかで制吐薬を投与すると吐き気の予防と緩和に役立ちます。
広く使用されている制吐薬にはメトクロプラミド、ヒドロキシジン、プロクロルペラジンなどがあります。
オピオイドを大量に投与すると重い副作用を起こすことがあります。
それには危険な呼吸抑制やさらに昏睡なども含まれます。
これらの副作用は、解毒薬のナロキソンを静脈投与すると回復できます。
看護師や患者の家族は、オピオイドの副作用に注意しなければなりません。
医師は慢性の痛みの治療にオピオイドを使用する場合、考えられる利益と副作用とを慎重に秤にかけて判断します。
オピオイドを長期間反復投与した場合、一部の患者は同じ効果を得るのに多めの量が必要となります。
これは薬に体が順応して、同じ反応が得られなくなるからです。
この現象を耐性といいます。
耐性をもっていない人は、同じ用量でも長期にわたって効果が得られます。
長期間オピオイドを使用している人は、薬に依存するようになります。
そしてその薬を中止すると離脱症状(禁断症状)が現れます。
そのため長期にわたって使用していたオピオイドを中止する場合は、用量を徐々に少なくしていき、離脱症状の発現を最小限にします。
薬物依存は薬物嗜癖(しへき)とは違うものです。
薬物嗜癖では、その薬を手に入れたり使用するために破壊的な活動や振る舞いを伴います。
中毒を起こす可能性はありますが、痛みの治療のためにオピオイドを使用している人ではまれです。
またよくあることですが、オピオイド嗜癖の可能性を心配しすぎるあまり、痛みの治療が不十分になり患者に不要な苦しみを与えることがあります。
激しい痛みのある人は、オピオイドの使用を避けるべきではなく、必要に応じて十分な用量を使用すべきです。
できれば、オピオイドは経口薬を使用してください。それができない場合には注射をします。
オピオイドは役に立つが、副作用には耐えられない人は、ポンプを使用して直接、脊髄周囲のスペースにオピオイドを注入します。
これにより高濃度の薬が脳に届くようになります。
オピオイドの1つであるフェンタニルは、皮膚に貼るパッチ剤として使えます。
これは最大72時間まで痛みを緩和できます。
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センナのような刺激性の緩下薬が、便秘の予防や症状の緩和に役立ちます。
また水分を多く取ることも有用です。
痛みと一緒に吐き気を催す場合がありますが、オピオイドは吐き気を増進させることがあります。
経口、座薬、注射のいずれかで制吐薬を投与すると吐き気の予防と緩和に役立ちます。
広く使用されている制吐薬にはメトクロプラミド、ヒドロキシジン、プロクロルペラジンなどがあります。
オピオイドを大量に投与すると重い副作用を起こすことがあります。
それには危険な呼吸抑制やさらに昏睡なども含まれます。
これらの副作用は、解毒薬のナロキソンを静脈投与すると回復できます。
看護師や患者の家族は、オピオイドの副作用に注意しなければなりません。
医師は慢性の痛みの治療にオピオイドを使用する場合、考えられる利益と副作用とを慎重に秤にかけて判断します。
オピオイドを長期間反復投与した場合、一部の患者は同じ効果を得るのに多めの量が必要となります。
これは薬に体が順応して、同じ反応が得られなくなるからです。
この現象を耐性といいます。
耐性をもっていない人は、同じ用量でも長期にわたって効果が得られます。
長期間オピオイドを使用している人は、薬に依存するようになります。
そしてその薬を中止すると離脱症状(禁断症状)が現れます。
そのため長期にわたって使用していたオピオイドを中止する場合は、用量を徐々に少なくしていき、離脱症状の発現を最小限にします。
薬物依存は薬物嗜癖(しへき)とは違うものです。
薬物嗜癖では、その薬を手に入れたり使用するために破壊的な活動や振る舞いを伴います。
中毒を起こす可能性はありますが、痛みの治療のためにオピオイドを使用している人ではまれです。
またよくあることですが、オピオイド嗜癖の可能性を心配しすぎるあまり、痛みの治療が不十分になり患者に不要な苦しみを与えることがあります。
激しい痛みのある人は、オピオイドの使用を避けるべきではなく、必要に応じて十分な用量を使用すべきです。
できれば、オピオイドは経口薬を使用してください。それができない場合には注射をします。
オピオイドは役に立つが、副作用には耐えられない人は、ポンプを使用して直接、脊髄周囲のスペースにオピオイドを注入します。
これにより高濃度の薬が脳に届くようになります。
オピオイドの1つであるフェンタニルは、皮膚に貼るパッチ剤として使えます。
これは最大72時間まで痛みを緩和できます。
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脳・脊髄・神経の病気『痛みの治療』
原因になっている障害を治療することで、痛みはなくなるか最小限になります。
たとえば骨折をギプスで固定したり、感染を起こした関節に抗生物質を投与すれば、痛みは軽くなります。
しかし基礎疾患が治療できたとしても、痛み止め(鎮痛薬)は痛みを早くコントロールするために依然として必要とされています。
医師は痛みのタイプや持続期間、そして起こりうる効果とリスクを考慮して鎮痛薬を選びます。
ほとんどの鎮痛薬は侵害性の痛みに対しては効果がありますが、神経障害性の痛みに対してはさほど効果がなく、別の薬が必要となります。
ある種の痛み、特に慢性の疼痛に対しては薬を使わない治療も重要です。
鎮痛薬は3つのカテゴリーに分類できます。
オピオイド(麻薬系)鎮痛薬、非オピオイド鎮痛薬、補助鎮痛薬(通常は別の目的で投与されますが、痛みも緩和する薬)です。
オピオイド鎮痛薬
オピオイド(麻薬系)鎮痛薬は、最も作用が強い鎮痛薬で、癌や重症疾患によって生じる急性の激しい痛みや慢性の痛みに対する治療の中心になっています。
オピオイドは痛みのコントロールに非常に効果的なため、好んで使用されます。
癌以外の慢性の痛みの治療に対するオピオイドの使用も、受け入れられるようになってきていますが、まだ一般的ではありません。
オピオイドはだれに対しても適切なわけではありません。
すべてのオピオイドは、ケシから抽出される天然物質のモルヒネと化学構造が類似していますが、他の植物から抽出されたものや、研究室で合成されるものもあります。
オピオイドの副作用はたくさんあります。急性の痛みに対してオピオイドを服用した人は、しばしば眠くなります。
この眠気が好都合な患者もいますが、そうでない人もいます。
オピオイドを服用する患者の多くは、この効果に耐性ができていき、眠気を催さなくなります。
眠気を感じ続ける人は、メチルフェニデートのような中枢神経刺激薬を服用して、昼間目覚めているようにします。
オピオイドは、特に高齢者では、錯乱を起こす場合もあります。
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たとえば骨折をギプスで固定したり、感染を起こした関節に抗生物質を投与すれば、痛みは軽くなります。
しかし基礎疾患が治療できたとしても、痛み止め(鎮痛薬)は痛みを早くコントロールするために依然として必要とされています。
医師は痛みのタイプや持続期間、そして起こりうる効果とリスクを考慮して鎮痛薬を選びます。
ほとんどの鎮痛薬は侵害性の痛みに対しては効果がありますが、神経障害性の痛みに対してはさほど効果がなく、別の薬が必要となります。
ある種の痛み、特に慢性の疼痛に対しては薬を使わない治療も重要です。
鎮痛薬は3つのカテゴリーに分類できます。
オピオイド(麻薬系)鎮痛薬、非オピオイド鎮痛薬、補助鎮痛薬(通常は別の目的で投与されますが、痛みも緩和する薬)です。
オピオイド鎮痛薬
オピオイド(麻薬系)鎮痛薬は、最も作用が強い鎮痛薬で、癌や重症疾患によって生じる急性の激しい痛みや慢性の痛みに対する治療の中心になっています。
オピオイドは痛みのコントロールに非常に効果的なため、好んで使用されます。
癌以外の慢性の痛みの治療に対するオピオイドの使用も、受け入れられるようになってきていますが、まだ一般的ではありません。
オピオイドはだれに対しても適切なわけではありません。
すべてのオピオイドは、ケシから抽出される天然物質のモルヒネと化学構造が類似していますが、他の植物から抽出されたものや、研究室で合成されるものもあります。
オピオイドの副作用はたくさんあります。急性の痛みに対してオピオイドを服用した人は、しばしば眠くなります。
この眠気が好都合な患者もいますが、そうでない人もいます。
オピオイドを服用する患者の多くは、この効果に耐性ができていき、眠気を催さなくなります。
眠気を感じ続ける人は、メチルフェニデートのような中枢神経刺激薬を服用して、昼間目覚めているようにします。
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