2010年10月15日金曜日

ホルモンの病気 『甲状腺機能亢進症 治療Ⅱ』

甲状腺の一部を破壊する治療として、放射性ヨードが経口的に投与されることがあります。


体全体としては受ける放射能はごくわずかですが、甲状腺がヨードを吸収して濃縮するので、


その多くが甲状腺に運ばれます。


入院はほとんど必要ありません。


治療後、2〜4日は乳児や幼児に近づくべきではありませんが、


職場では特別な予防策の必要はなく、パートナーと一緒に眠ることも問題ありません。


ただし、妊娠は約6カ月間は避けるべきです。


甲状腺を破壊する放射性ヨードの量は、


甲状腺機能を大きく損なわずに甲状腺のホルモン産生を正常に戻す程度に調整する医師もいれば、


甲状腺を完全に破壊する大量の線量を使用する医師もいます。


この治療を受けた人のほとんどが、その後一生ホルモン補充療法を受けなければなりません。


放射性ヨードと癌との関係は確認されていません。


放射性ヨードは胎盤を通過し、乳汁に入って胎児あるいは乳児の甲状腺をも破壊するため、


妊娠中と授乳中には投与されません。


甲状腺を手術で取り除く甲状腺切除術は、若年者にとって治療法の選択肢の1つになります。


甲状腺腫の大きい人や、甲状腺機能亢進症の治療に使用している薬にアレルギーがある、


あるいは重い副作用のある人にも選択肢になります。


手術を選択した人の90%以上で、甲状腺機能亢進症は永続的に制御されています。


手術後の甲状腺機能低下はしばしば起こり、その場合、


以後生涯にわたり甲状腺ホルモンを補充しなければなりません。


手術でまれに起こる合併症は、声帯の麻痺(まひ)と、


副甲状腺(甲状腺の後ろにある血中カルシウム濃度を制御する小さな分泌腺)の損傷です。


グレーヴス病では、眼と皮膚の症状の治療も必要です。


眼の症状には、寝床の頭の位置を高くする、点眼薬の使用、まぶたをテープで閉じる、


場合によっては利尿薬(水分の排出を速める薬)の服用が役に立ちます。


複視にはプリズム眼鏡を使用します。


最終的に、眼の症状が重症の場合には経口コルチコステロイド薬、眼窩のX線治療、


眼の手術が必要になります。


ステロイド薬のクリームや軟膏は、かゆみや硬くなった皮膚の症状を和らげます。



治療しなくても数カ月、あるいは何年かたてば解消されることもよくあります。