事故・脊髄損傷 治療
最初の目標は損傷の拡大を防ぐことです。脊髄を損傷したらしい患者を病院へ搬送するときには、最大の注意が払われます。
通常は、負傷者を硬い板の担架に乗せ、体が動かないように慎重にパッドを挟んでベルトで固定します。
脊髄が損傷していると、脊椎がわずかに動いただけでも麻痺が永久的になる可能性が増えるからです。
通常、外傷周辺部の腫れを抑えるため、医師はすぐにメチルプレドニゾロンなどのコルチコステロイドを注射します。
効果を上げるためには、外傷後8時間以内に薬の投与を開始する必要があり、その後も約24時間治療を続けるべきです。
筋弛緩薬(シクロベンザプリンなど)と鎮痛薬(イブプロフェンなど)は、けいれんの治療に用いられます。
脊椎骨折などの場合は、動かすと新たな損傷を招くため、外科医は金属製の棒を手術で埋めこみ、脊椎を固定します。
そして、神経外科医はその後に脊髄周辺にたまった血液や骨の断片をすべて取り除きます。
脊髄や脊椎が治癒している期間は、合併症を予防するための専門的看護が必要になります。
褥瘡(じょくそう:床ずれ)を防止するために、看護師は毎日皮膚をチェックし、乾燥と清潔を保ち、頻繁に体位を変換しなければなりません。
必要ならば、ストライカー枠と呼ばれる特殊なベッドが用いられます。これは、回転して圧力のかかる部位を前後左右に移動します。
患者が動けずトイレが使えない場合は尿道カテーテルが必要になります。
尿路感染のリスクを減らすために滅菌されたカテーテルが無菌操作で入れられ、毎日抗菌薬の軟膏(なんこう)や液が塗られます。
肺炎のリスクを減らすために療法士と看護師から深呼吸の方法を習います。たんが出やすい角度に体を傾けるなどの指導(体位ドレナージ)も行われます。
体の機能が広範囲に失われると、絶望的になり、うつに陥ったり自尊心を失うことがあります。
何が起きたのか、近い将来あるいは遠い未来に何が期待できるかを正確に学ぶことによって、障害と闘う勇気が出ます。
理学療法や作業療法は筋肉の機能維持に効果があり、療法士は患者に失われた機能を克服するための技術を指導します。
ほとんどの人が専門的看護、心理カウンセリング、家族や親友の精神的支援に支えられています。
患者の家族にもカウンセリングが有効です。
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2011年11月10日木曜日
脊髄損傷!「事故・脊髄損傷」
脊髄が事故で傷つくと、断裂、鈍的損傷、圧迫(骨折、骨の腫れ、出血などによる)が起こることがあります。
脊髄は組織化されているため、脊髄が損傷すると常に損傷部位より下方の神経機能が失われます。
たとえば背中の真ん中の脊髄がひどく損傷すると、腕は正常に動きますが脚が麻痺します。
侵された領域の感覚と筋肉の運動機能が失われます。
脳の支配を受けていない反射はそのまま残っていますが、損傷部位より下方の部位では反射が増大することさえあります。
たとえば膝蓋腱反射(しつがいけんはんしゃ)では、膝のすぐ下を小型のハンマーで軽くたたくと、正常であれば下肢が上方に跳ねますが、脊髄が損傷していると脚がれん縮する結果、痙性麻痺の症状が現れます。
これは膝蓋腱反射をコントロールする筋肉が緊張して硬直し、断続的に収縮して脚の引きつりを起こすためです。
麻痺と感覚消失が体の一部や全身に起きて、それが一時的に現れたり永久に続いたりします。
外傷により脊髄が断裂したり脊髄の神経路が破壊されると、機能は永久に失われます。
一方鈍い衝撃による脊髄損傷では、消失は数日から数週間あるいは数カ月症状が続く一時的なものになります。
麻痺が完全ではなく、損傷後1週間以内に運動と感覚の機能が戻ってくれば、回復の見込みは大きくなります。
6カ月以内に機能が回復しない場合は、一生機能が戻らない可能性があります。
脊髄損傷によって脱力や麻痺を起こした患者は、褥瘡(床ずれ)、尿路感染症、肺炎を起こすリスクが高くなります。
続きます>>
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たとえば背中の真ん中の脊髄がひどく損傷すると、腕は正常に動きますが脚が麻痺します。
侵された領域の感覚と筋肉の運動機能が失われます。
脳の支配を受けていない反射はそのまま残っていますが、損傷部位より下方の部位では反射が増大することさえあります。
たとえば膝蓋腱反射(しつがいけんはんしゃ)では、膝のすぐ下を小型のハンマーで軽くたたくと、正常であれば下肢が上方に跳ねますが、脊髄が損傷していると脚がれん縮する結果、痙性麻痺の症状が現れます。
これは膝蓋腱反射をコントロールする筋肉が緊張して硬直し、断続的に収縮して脚の引きつりを起こすためです。
麻痺と感覚消失が体の一部や全身に起きて、それが一時的に現れたり永久に続いたりします。
外傷により脊髄が断裂したり脊髄の神経路が破壊されると、機能は永久に失われます。
一方鈍い衝撃による脊髄損傷では、消失は数日から数週間あるいは数カ月症状が続く一時的なものになります。
麻痺が完全ではなく、損傷後1週間以内に運動と感覚の機能が戻ってくれば、回復の見込みは大きくなります。
6カ月以内に機能が回復しない場合は、一生機能が戻らない可能性があります。
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脊髄損傷!
脊髄(せきずい)は、脳と体の他の部分の情報を伝達する主要経路です。
長く傷つきやすいチューブ状の構造で、脳の基底部から下方へ伸びています。
脊髄は背骨(椎骨)に守られており、椎骨は軟骨でできた椎間板に分離され衝撃を和らげています。
脊髄の長軸方向に沿って31対の脊髄神経が椎骨の間のすき間から出て、全身の神経とつながっています。
感覚神経根をもたない第1脊髄神経以外の脊髄神経は、それぞれ2つの神経根をもっています。
前側にある神経根は運動神経根で、脊髄から筋肉へ信号を伝達しています。
後ろ側にある神経根は感覚神経根で、触覚、位置、痛み、温度の感覚情報を体から脊髄へ伝達しています。
脊髄は高度に組織化され、同様の機能をもつ神経経路はグループ化されています。
情報を筋肉に伝えて運動を起こさせる運動神経グループと、感覚情報を脳へ伝える感覚神経グループに分かれます。
さらに、これらの運動神経と感覚神経はそれぞれ脊髄神経の運動神経根と感覚神経根につながっています。
脊髄のもつ組織と機能のために、脊髄が傷つくとさまざまなパターンの症状を起こします。
背中の痛みだけでなく、しびれ、脱力、感覚消失、腸と膀胱の機能損失、麻痺(まひ)などです。
これらのパターンにより、脊髄が損傷した部位を決めることができます。
脊髄の障害には、外部に由来するものもあります。
たとえば外傷、感染症、血流の遮断、圧迫などです。
脊髄を圧迫するものには、骨(頸椎症や骨折)、血液のかたまり(血腫)、腫瘍、局所的な膿のたまり(膿瘍)、椎間板破裂や椎間板ヘルニアなどがあります。
脊髄内部で発生する障害には、髄腔に液がたまる空洞症、急性横断性脊髄炎、腫瘍、膿瘍、出血、多発性硬化症などがあります。
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前側にある神経根は運動神経根で、脊髄から筋肉へ信号を伝達しています。
後ろ側にある神経根は感覚神経根で、触覚、位置、痛み、温度の感覚情報を体から脊髄へ伝達しています。
脊髄は高度に組織化され、同様の機能をもつ神経経路はグループ化されています。
情報を筋肉に伝えて運動を起こさせる運動神経グループと、感覚情報を脳へ伝える感覚神経グループに分かれます。
さらに、これらの運動神経と感覚神経はそれぞれ脊髄神経の運動神経根と感覚神経根につながっています。
脊髄のもつ組織と機能のために、脊髄が傷つくとさまざまなパターンの症状を起こします。
背中の痛みだけでなく、しびれ、脱力、感覚消失、腸と膀胱の機能損失、麻痺(まひ)などです。
これらのパターンにより、脊髄が損傷した部位を決めることができます。
脊髄の障害には、外部に由来するものもあります。
たとえば外傷、感染症、血流の遮断、圧迫などです。
脊髄を圧迫するものには、骨(頸椎症や骨折)、血液のかたまり(血腫)、腫瘍、局所的な膿のたまり(膿瘍)、椎間板破裂や椎間板ヘルニアなどがあります。
脊髄内部で発生する障害には、髄腔に液がたまる空洞症、急性横断性脊髄炎、腫瘍、膿瘍、出血、多発性硬化症などがあります。
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