2010年1月23日土曜日

肝臓の病気  『肝硬変 』 ④

診断

肝硬変は、症状と診察所見、


病歴聴取で判明した危険因子を基に診断されます。


触診を行うと肝臓は縮んで硬く感じられ、


また肝臓の表面に小さなこぶが感じられることがあります。


肝臓の働きにはかなりの余力があり、


また生化学検査は感度が比較的低いため、


肝硬変があっても肝機能検査の結果は


しばしば正常値となります。


肝臓は正常時の働きの85%を失ってもなお、


重要な機能を保つことができます。


超音波検査やCT検査で、


肝硬変を示唆する肝臓の縮小や組織の


異常がわかることがあります。


放射性同位元素を用いた肝スキャン検査では、


肝臓のどの部分が機能し、


どこが線維化しているかが画像に示されます。


診断を確定するには、


肝生検を行います。


経過の見通しと治療


肝硬変は進行性の病気です。


肝硬変の初期に飲酒をやめれば、


肝臓のそれ以上の線維化は食い止められるかもしれません。


しかし、その場合もすでに線維化した組織はもはや回復しません。


一般に、吐血や腹水、


脳の機能異常といった重症の合併症が起きていれば


経過の見通しは悪くなります。


肝硬変は治癒しません。このため肝硬変を予防し、


初期のうちに進行を食い止めることが重要です。


肝硬変の治療では、アルコールなどの毒性物質の摂取をなくし、


合併症が生じればその治療を行っていきます。


肝臓で代謝される薬の服用が必要な場合には、


過剰投与を避けるため用量を通常よりも大幅に減らします。


適切な栄養摂取を心がけ、


タンパク質や塩分の摂取制限、


ビタミン剤の服用などを行います。


肝硬変が進行した患者でも、


肝臓移植を行えば命が助かる可能性があります。


ただし、飲酒を続けていたり、


肝硬変の背景にある原因が解決されていない患者の場合には、


移植された肝臓もやがて肝硬変になってしまうため、


肝臓移植は普通は行われません。