2011年9月12日月曜日

脳・脊髄・神経の病気『痛みの種類』 ③

心因性の痛み


これは全体または大部分が心理的障害に関連して起こる痛みです。


心理的に混乱している人に持続性の痛みがあり、その人に痛みの原因になる疾患が見つからない場合、この痛みは心因性とされます。


純粋な心因性の痛みはまれです。


より一般的には、心因性の痛みにも肉体的な原因がありますが、患者が経験する痛みや障害の程度は、同じ病状をもつ大部分の人よりはるかに強い傾向があります。


心因性の痛みは、慢性疼痛症候群ともいわれることもあります。


心理的要因はしばしば障害を助長し、痛みの訴えを誇張します。


どのような痛みも、心理的要因により悪化することがあります。


心因性の痛みが疑われる場合でも、医師は痛みを助長する物理的な原因がないかどうかを検査します。


痛みが心理的要因によって引き起こされたり悪化することは、痛みが存在しないという意味ではありません。


痛みを訴える患者のほとんどは、肉体的な原因が見つかっていなくても実際に痛みを感じています。


心理的要因によって悪化する痛みにも治療は必要で、しばしば心理学者や精神科医が治療チームに加わります。


他の種類の慢性的な痛みの治療と同じく、このタイプの痛みの治療も患者によって異なり、医師はそれぞれの患者のニーズに応じた治療を試みます。


慢性の心因性の痛みがある患者の治療目標は、痛みを和らげ、身体的・心理的機能を改善することです。


医師は徐々に身体的・社会的活動を増やすため、患者に合わせたアドバイスを与えます。


薬物療法や薬以外の治療、たとえばバイオフィードバック、リラクゼーション訓練、注意そらし技法、催眠療法、経皮的電気神経刺激法(TENS)、理学療法などが用いられます。


心理カウンセリングも必要とされます。












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脳・脊髄・神経の病気『痛みの種類』 ②

神経障害性の痛み


神経障害性の痛みは神経、脊髄、脳で生じた異常で起こる痛みです。


神経障害性の痛みは、ヒリヒリ、チクチクする感覚、または寒さやものに触れた場合の神経過敏です。


これには幻肢痛、ヘルペス後神経痛、反射性交感神経性ジストロフィ、カウザルギー(灼熱痛)などが含まれます。


幻肢痛とは、体の一部(通常は手や足)が切断されたにもかかわらず、そこに痛みを感じるものです。これは幻肢感とは異なります。


幻肢感は切断した部分がなお残っているかのように感じるもので、これはより多くの患者にみられます。


一方、幻肢痛は四肢のどこかが悪いために起こるのではなく、切断面より上部の神経系に生じた変化が原因で起こります。


神経の信号を、失った四肢から来た信号と脳が誤って解釈するためです。


切断された下肢のつま先、足首、足が、または切断された上肢の指や手が痛むように感じます。


この痛みは、締めつけられるような、焼けるような、または幻肢がつぶれた感じに似ていますが、それまで経験したいずれの感じとも異なる痛みの場合もあります。


この幻肢痛は、時がたつとともに発症回数が少なくなる場合も、ずっと持続する場合もあります。


この痛みにはマッサージが有効な場合もありますが、薬での治療が必要なこともあります。


ヘルペス後神経痛は帯状疱疹(たいじょうほうしん)が原因で起こり、神経組織の炎症を引き起こします。


この痛みは、絶え間なく深くうずくか、または焼けるようだったり、鋭い断続的な痛みだったり、寒さやものに触れた場合の神経過敏のようでもあります。


痛みで衰弱することもあります。


反射性交感神経性ジストロフィ(複雑性局所疼痛症候群、タイプ1)とカウザルギー(複雑性局所疼痛症候群、タイプ2)は、慢性的な痛みが続く症候群です。


これらは焼けるような痛みが持続し、かつ痛みと同じ部位に何らかの異常所見を伴うものと定義されています。


この異常所見には、発汗の増加または減少、浮腫、皮膚の色の変化、皮膚、髪、爪、筋肉、骨の損傷(筋肉の萎縮や骨量の減少を含む)などがあります。


どちらの症候群も、けがをした後に起こるのが典型的です。


反射性交感神経性ジストロフィは、神経以外の組織が損傷した結果として起こります(たとえば肩手症候群)。


カウザルギーは神経組織の損傷が原因で起こります。


反射性交感神経性ジストロフィやカウザルギーのいくつかのタイプは、交感神経系の活動が亢進すると悪化します。


交感神経はストレス状態や緊急事態、つまり攻撃・逃避行動に対し体を活動準備状態にします。


このため、医師は交感神経ブロックによる治療を勧めます)。




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脳・脊髄・神経の病気『痛みの種類』

痛みには数種類のタイプがあります。


侵害性の痛み(たとえば、手術後の痛みや癌による痛み)、神経障害性の痛み(たとえば、座骨神経痛)、心因性の痛みです。


侵害性の痛み


これは体の組織が損傷を受けたときに起こる痛みです。


この損傷は、切り傷、打撲、骨折、挫滅創、やけどなど、組織を傷つけるすべてものを指します。


典型的なこのタイプの痛みは、うずくような、鋭い、ズキズキする痛みです。


痛みの大半はこのタイプです。


この組織の損傷による痛みの受容器(侵害受容器)は、


ほとんどが皮膚と内臓に分布しています。


手術後に経験する痛みは、ほとんどが侵害性の痛みです。


このタイプの痛みは持続的なことも断続的なこともあります。


体を動かしたり、せきをしたり、笑ったり、深呼吸したときや、


包帯交換のときにこのタイプの痛みは増強します。

癌による痛みも、そのほとんどがこのタイプの痛みです。


腫瘍(しゅよう)が骨や臓器に浸潤すると、軽い不快感を起こすか激痛を引き起こします。


癌治療としての手術や放射線療法でも、このタイプの組織の損傷による痛みを起こします。



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