2019年2月28日木曜日

心臓・血管>>アテローム動脈硬化 予防と治療

心臓・血管>>アテローム動脈硬化 予防と治療


アテローム動脈硬化を予防するためには、

喫煙、

コレステロール高値、

高血圧、

肥満、

運動不足などの、

改善できる危険因子を認識する必要があります。

その人の抱えている危険因子によって、

禁煙、

コレステロール値の低下、

血圧の低下、減量、

運動プログラムの開始などの予防法があります。

合併症を起こすほど、

アテローム動脈硬化が重症化しているときは、

合併症そのものも治療しなければなりません。

アテローム動脈硬化の合併症には、

狭心症、

心臓発作(心筋梗塞)、

不整脈、

心不全、

腎不全、

脳卒中、

けいれん(間欠性跛行)などがあります。

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2019年2月27日水曜日

心臓・血管>>アテローム動脈硬化 症状 Ⅱ

心臓・血管>>アテローム動脈硬化 症状 Ⅱ


アテローム動脈硬化により動脈が狭くなればなるほど、

組織はその動脈から十分な量の血液と酸素を受け取ることができなくなり、

症状が現れます。

動脈の狭窄による最初の症状は、

組織が必要とする酸素の量を血流が維持できないときに起こる痛みやけいれんです。

たとえば、運動中に胸痛が起こるのは、

心臓へ供給される酸素が不足しているからです。

また、歩行中に脚がけいれんするのは、

脚に供給される酸素が不足しているからです。

普通、アテロームは動脈をゆっくりと狭めていくので、

症状も徐々に現れます。

しかしときに、

アテロームによって狭くなった動脈に血液のかたまりが詰まるなどして、

動脈の閉塞が突然起こった場合には、

最初の症状も突然起こり、

心臓発作や脳卒中を来します。

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2019年2月22日金曜日

心臓・血管>>アテローム動脈硬化 症状

心臓・血管>>アテローム動脈硬化 症状


アテローム動脈硬化では普通、

動脈内腔が70%以上狭められるまで症状はみられません。

症状は、

全身どこにでも起こり得る動脈の狭窄や閉塞の部位によって異なります。

冠動脈が狭窄すると、

胸痛(狭心症)が起こります。

冠動脈が閉塞すると、

心臓発作が起こります。不整脈や心不全が起こることもあります。

脳へ血液を供給する頸動脈の閉塞は、

脳卒中を引き起こします。脚の動脈の狭窄は、

けいれん(間欠性跛行)を引き起こします。

55歳以上の人では腎臓へ血液を供給する動脈の片方あるいは両方が狭窄もしくは閉塞し、

ときに腎不全や危険なほど血圧が高い状態を起こすことがあります。

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2019年2月20日水曜日

心臓・血管>>アテローム動脈硬化 危険因子 Ⅶ

心臓・血管>>アテローム動脈硬化 危険因子 Ⅶ


高ホモシステイン血症の原因が遺伝性ホモシステイン尿症ではない場合、

脳へ続く動脈や末梢動脈と同様に、

冠動脈を傷害するアテローム動脈硬化が起こる危険性が高くなります。

血液中のホモシステイン濃度を上昇させる原因には、

葉酸欠乏症、

ビタミンB6あるいはB12欠乏症、

腎不全、

乳癌など一部の癌、

乾癬、

大量の喫煙、

特定の薬剤の使用などがあります。

こうした薬剤には、葉酸やビタミンB6、

ビタミンB12と相互作用する癌を治療するメトトレキサート、


抗けいれん薬のフェニトインやカルバマゼピンのような薬剤;

脂質低下薬のコレスチポール、

コレスチラミンおよびナイアシン

のようなホモシステインの吸収に干渉する薬剤;

抗生物質のイソニアジドのようなホモシステインの代謝に干渉する薬剤などがあります。

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2019年2月19日火曜日

心臓・血管>>アテローム動脈硬化 危険因子 Ⅵ

心臓・血管>>アテローム動脈硬化 危険因子 Ⅵ


肥満: 肥満、特に内臓肥満は、

冠動脈疾患のリスクを増やします。

内臓肥満はアテローム動脈硬化の他の危険因子、

つまり高血圧、

2型糖尿病、

コレステロール高値のリスクも増大させます。

減量によって、

これらすべてのリスクが減少します。


運動不足: 運動不足は、

冠動脈疾患の発症リスクを増大させることが示されており、

定期的な運動によってそのリスクが低下するという多くの証拠が報告されています。

運動はまた、

血圧低下、

コレステロール値低下、

体重減少などによって、

アテローム動脈硬化のその他の危険因子を改善する効果があります。

血中ホモシステイン高値: 血液中のホモシステイン濃度の高値は、

動脈内壁を直接傷つけ、

アテロームが形成されやすくなります。

さらに、

ホモシステイン高値によって血液のかたまりも形成されやすくなります。

加齢とともにホモシステイン値は高くなり、

女性では特に閉経後に高くなります。

血液中のホモシステイン濃度の高値は、

ホモシステイン尿症により起こります。

この疾患の患者では若年者でも広範囲なアテローム動脈硬化がよくみられます。

心臓に血液を供給する冠動脈だけではなく、

さまざまな動脈にアテロームが形成されます。

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2019年2月13日水曜日

心臓・血管>>アテローム動脈硬化 危険因子 Ⅴ

心臓・血管>>アテローム動脈硬化 危険因子 Ⅴ


高血圧: うまくコントロールされていない高い拡張期あるいは収縮期血圧は、

アテローム動脈硬化によって引き起こされる心臓発作や、

脳卒中の危険因子です。

糖尿病: 1型糖尿病の患者では、

眼や腎臓などの細動脈に影響を及ぼすアテローム動脈硬化が発生しやすくなっています。

一部の1型糖尿病および大半の2型糖尿病の患者では、

大動脈にアテローム動脈硬化が発生しやすくなっています。

また、糖尿病患者は、

糖尿病ではない人よりもより若い年代で、

より広範囲にアテローム動脈硬化を発生しやすいとされています。

アテローム動脈硬化の発症リスクは、

糖尿病のある人、

特に女性では2〜6倍高くなります。

糖尿病の女性は、

そうでない女性と異なり、

閉経前でもアテローム動脈硬化を発症しやすくなっています。

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2019年2月11日月曜日

心臓・血管>>アテローム動脈硬化 危険因子 Ⅳ

心臓・血管>>アテローム動脈硬化 危険因子 Ⅳ


総コレステロール値が300mg/dLに達すると、

心臓発作のリスクは2倍以上になります。

LDLコレステロール値が130mg/dL未満になり、

HDLコレステロール値が40mg/dLを超えると、

リスクは減少します。

総コレステロール値やLDLコレステロール値よりも、

総コレステロール中に占めるHDLコレステロールの割合が、

さらに信頼性の高いリスクの指標です。

HDLコレステロールは総コレステロールの25%以上を占めていなければなりません。

中性脂肪の高値は、

HDLコレステロールの低値とよく相関します。

しかし、

中性脂肪値が高いだけでも、

アテローム動脈硬化のリスクは上昇します。

コレステロールや他の脂肪性物質の血中濃度を上昇させる一部の遺伝性疾患も、

アテローム動脈硬化のリスクを増大させます。

たとえば、

コレステロール値を極度に上昇させる家族性高コレステロール血症は、

主に冠動脈にアテロームの形成を引き起こします。

この病気の人が治療を受けずにいると、若いうちに冠動脈疾患で死亡します。

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2019年2月8日金曜日

心臓・血管>>アテローム動脈硬化 危険因子 Ⅲ

心臓・血管>>アテローム動脈硬化 危険因子 Ⅲ


コレステロール高値: コレステロール高値は、

もう1つの重要で改善可能な危険因子です。

スタチンの使用によりコレステロール値を低下させることは、

心臓発作、脳卒中、死亡のリスクを有意に減少させます。

コレステロール値を上昇させる危険因子の多くは、

アテローム動脈硬化の危険因子でもあります。

それらには、喫煙、糖尿病、肥満、運動不足などがあります。

脂肪分を多く含む食事によってコレステロール値が上昇する人もいます。

コレステロール値は加齢とともに上昇し、

正常な場合は男性の方が女性より高く、

また、

女性では閉経後に高くなります。

しかし、

すべての種類のコレステロールがアテローム動脈硬化

のリスクを増大させるわけではありません。

LDL(悪玉)コレステロール値が高くなると、

リスクは増えます。

一方、HDL(善玉)コレステロール値が高くなるとリスクは減り、

低くなるとリスクは増えます。

理想的な数値は、

LDLコレステロール、HDLコレステロール、

中性脂肪を合わせた総コレステロール値が140〜200mg/dLの範囲にあることです。

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2019年2月6日水曜日

心臓・血管>>アテローム動脈硬化 危険因子 Ⅱ

心臓・血管>>アテローム動脈硬化 危険因子 Ⅱ


喫煙は、

「善玉」コレステロールと呼ばれる高密度リポタンパク(HDL)値を低下させ、

「悪玉」コレステロールと呼ばれる低密度リポタンパク(LDL)値を上昇させます。

喫煙は、

動脈内壁が損傷する危険性を高める一酸化炭素の血中濃度を上昇させます。

喫煙は、

アテローム動脈硬化によってすでに狭くなっている動脈を収縮させ、

組織に供給される血液の量をさらに減少させます。

加えて、

喫煙は血小板の粘着性を高めることで血液を固まりやすくさせるため、

末梢動脈疾患、

冠動脈疾患、

脳卒中、

バイパス術で移植したグラフトの閉塞などの危険性が高まります。

禁煙した人のリスクは、

禁煙までの喫煙期間の長さにかかわらず、

喫煙を続けている人の半分になります。

また、禁煙は、冠動脈バイパス術や心臓発作後の死亡リスク、

末梢動脈疾患の悪化および死亡リスクを減少させます。

禁煙の有益性はすぐに現れ、

時間がたつにつれて増大します。

他人が吸っているタバコの煙を吸いこむ受動喫煙もリスクを上昇させます。

タバコの煙は避ける必要があります。

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2019年2月5日火曜日

心臓・血管>>アテローム動脈硬化 危険因子

心臓・血管>>アテローム動脈硬化 危険因子


アテローム動脈硬化の危険因子には、

喫煙、血液中のコレステロール高値、

高血圧、糖尿病、肥満、運動不足、

血液中のホモシステイン(アミノ酸)高値などがあります。

これらの危険因子は、普通、改善できます。

改善しようのない危険因子には、

早期のアテローム動脈硬化の家族歴

(近親者で若いときにこの病気を起こした人がいる)、

加齢、性別が男性などがあります。

冠動脈疾患を有する女性は、

それを有する男性より死亡率が高いにもかかわらず、

アテローム動脈硬化の発症リスクは、

女性よりも男性の方が高くなっています。

喫煙: 最も重要で改善可能な危険因子が喫煙です。

喫煙者が冠動脈疾患を発症するリスクは、

毎日吸うタバコの本数と直接的に関係します。

すでにハイリスクの心疾患を発症している人にとって、

喫煙はきわめて危険です。

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2019年2月1日金曜日

心臓・血管>>アテローム動脈硬化 Ⅳ

心臓・血管>>アテローム動脈硬化 Ⅳ


アテローム動脈硬化により、

動脈は弾力性を失うため、

それが高血圧の原因となる可能性があります。

アテロームが大きくなるにつれて、

動脈内腔は狭くなります。

やがて、カルシウムがアテローム内に蓄積すると、

アテロームはもろくなって破れます。

破れたアテロームに血液が流れこみ、

アテロームを増大させるので、

動脈内腔はますます狭くなります。

また、破れたアテロームから脂肪性の内容物も血流中に流れ出します。

この脂肪性のかたまり(脂肪塞栓)が血流に乗って移動し、

全身のどこかの動脈を詰まらせることになります。

アテロームの破裂は血液のかたまり(血栓)の形成を誘発することも多く、

心臓発作や脳卒中の主な原因となります。

血液のかたまりは動脈内腔をさらに狭めたり閉塞させたり、

あるいは血液のかたまりがはがれて塞栓となり、

血流に乗って下流の動脈を詰まらせます。

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2019年1月31日木曜日

心臓・血管>>アテローム動脈硬化 Ⅲ

心臓・血管>>アテローム動脈硬化 Ⅲ


アテローム動脈硬化では、

リンパ球、単球、

マクロファージといった特定の白血球が、

その発症・進展の過程を通して出現していることから、

炎症反応が関与しているとも考えられています。

これらの白血球は炎症が起きているときにのみ集まってくる細胞です。

アテローム動脈硬化は、

単球が活性化され、

血流中から動脈壁内に入りこむことから始まります。

単球は、

そこでコレステロールやその他の脂肪性物質をためこむ泡沫細胞へ変化します。

やがて、

これらの脂肪性物質を豊富に含んだ泡沫細胞が蓄積します。

こうして、動脈壁の肥厚を引き起こす、

動脈内壁のまだらな沈着物(アテローム)が形成されます。

感染症も、

アテローム動脈硬化の一因です。

感染症には、

肺炎を引き起こす肺炎クラミジア、

胃潰瘍を起こすヘリコバクター‐ピロリ(H.ピロリ)などの微生物や、

まだ見つかっていないウイルスによるものが考えられます。

感染症が動脈内壁を傷つけることで、

アテローム動脈硬化が始まります。

アテロームは中動脈や大動脈に広範囲に形成されますが、

普通は動脈が分岐している部位に形成されます。おそらく、

これらの部位では、絶え間なく血液の乱流が起こり、

動脈内壁を傷つけることから、

アテロームが形成されやすいのだと考えられます。

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2019年1月30日水曜日

心臓・血管>>アテローム動脈硬化 Ⅱ

心臓・血管>>アテローム動脈硬化 Ⅱ


アテローム動脈硬化は、脳、心臓、腎臓、

その他の命にかかわる臓器や脚の中動脈や大動脈に損傷を与えます。

アテローム動脈硬化は、

動脈壁が肥厚して弾力性がなくなる病態の総称である動脈硬化の中で、

最も重大で、

最も多くみられる種類です。

アテローム動脈硬化がなぜ発生するかについては、

2つの主な説があります。

1つは、

血液中に高い濃度で存在するコレステロールが、

動脈の内壁を損傷して、

炎症反応を引き起こし、

そこへコレステロールや他の脂肪性物質の蓄積が促進され、

アテロームが形成されるという説です。

もう1つは、

免疫系に関与するさまざまなしくみや直接的な毒性によって、

動脈壁の損傷が繰り返される変化によってアテロームが生じるという説です。

これら2つの説は相互関係があって、

互いに矛盾するものではありません。

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2019年1月29日火曜日

心臓・血管>>アテローム動脈硬化

心臓・血管>>アテローム動脈硬化 

アテローム動脈硬化とは、
脂肪性物質のまだらな沈着物が、
中動脈や大動脈の内壁で大きくなるため、
血流が減少したり、
遮断されたりする病気です。
ほとんどの欧米諸国で、
アテローム動脈硬化は主要な病因および死因です。
米国だけでも1996年のアテローム動脈硬化による死亡者数は100万人近くと、
癌(がん)による死亡の2倍、
事故による死亡の10倍を占めています。
医学の著しい進歩にもかかわらず、
冠動脈疾患による心臓発作と、
脳卒中は、
ほかのすべての原因を合わせたよりも多数の死亡の原因となっています。
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2019年1月24日木曜日

心臓・血管>>心臓の腫瘍>>癌性腫瘍 診断 治療

心臓・血管>>心臓の腫瘍>>癌性腫瘍 診断 治療


癌性心臓腫瘍の診断は、

非癌性心臓腫瘍の診断と同様の方法で行います。

続発性腫瘍については、

その原発部位がまだわかっていなければ、

それを突き止めるための検査を行います。

原発性、続発性にかかわらず、

癌性心臓腫瘍はほとんど完治が望めないことから、

治療は症状を緩和するために計画されます。

腫瘍の種類に基づいて、

放射線療法あるいは化学療法が実施されます。

2019年1月22日火曜日

心臓・血管>>心臓の腫瘍>>癌性腫瘍

心臓・血管>>心臓の腫瘍>>癌性腫瘍


癌性原発性心臓腫瘍はきわめてまれな病気で、

原発性心臓腫瘍の約4分の1です。

最も一般的なものは、

血管組織から発生する肉腫です。

続発性心臓腫瘍ははるかに発生率が高いのですが、

どの程度多いかは不明です。

症状

T癌性心臓腫瘍の症状は、

非癌性心臓腫瘍の症状と本質的に同じで、

腫瘍の発生した部位によってさまざまです。

しかし、癌性腫瘍は非常に増殖が速いので、

その症状は非癌性腫瘍の症状よりも急速に悪化する傾向があります。

その他の症状は、

突然発症する心不全、

不整脈、心機能を低下させ、

心タンポナーデを起こす心膜内への出血などです。

癌性原発性心臓腫瘍は脊椎や、

その周辺組織、

肺や脳などの臓器に転移する可能性があります。

続発性心臓腫瘍の症状には、

原発性腫瘍によって起こる症状と、

体の他の部分へ転移した腫瘍によって起こる症状が含まれます。

肺癌や乳癌などは、

直接心臓に浸潤して広がり、

しばしば心膜内に転移します。

転移した癌によって血液や体液が心膜内に蓄積して心臓が圧迫されます。

癌はまた、

血流やリンパ系を通じて心筋や心房、

心室にも転移します。

これにより、心不全症状が起こります。

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2019年1月16日水曜日

心臓・血管>>心臓の腫瘍>>粘液腫 診断 治療

心臓・血管>>心臓の腫瘍>>粘液腫 診断 治療


粘液腫は症状に基づいて推測されます。

聴診では、

僧帽弁から血液が逆流する僧帽弁逆流により生じる心雑音が聞こえます。

この原因として、

非常にまれなものは粘液腫による僧帽弁の損傷、

比較的多くみられるものはリウマチ熱による損傷です。

腫瘍かリウマチ熱かは普通、

心音と病歴から鑑別できます。

診断は、

心エコー検査で確定します。

その他の方法として、

血管造影検査、

CT検査、

MRI検査、

生検などが、

ときに必要になります。

粘液腫は、

外科的切除によってたいていは治癒します。

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2019年1月15日火曜日

心臓・血管>>心臓の腫瘍>>粘液腫 症状

心臓・血管>>心臓の腫瘍>>粘液腫 症状


左心房に粘液腫のある人が立ち上がると息切れを感じたり、

失神したりします。

立っている状態では、

重力によって粘液腫が開いている僧帽弁の中に引っぱりこまれるため、

心臓を通る血流が遮断されます。

そのため一過性の心不全が起こります。

横になると、粘液腫が僧帽弁から離れるため、

症状が軽くなります。

粘液腫の破片や粘液腫の

表面に形成された血液のかたまりが砕かれて塞栓となって血流に乗り、

他の臓器に移動し、

そこの動脈を詰まらせる可能性があります。

その結果生じる症状は、

どの動脈が遮断されるかによって異なります。

たとえば、脳内の動脈が詰まると脳卒中が起こり、

肺の中の動脈が詰まると痛みや喀血を起こします。

粘液腫のその他の症状として、

発熱、体重減少、

レイノー現象、

赤血球数の低下(貧血)、

白血球数の上昇、

血小板数の低下などがあります。

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2019年1月14日月曜日

心臓・血管>>心臓の腫瘍>>粘液腫

心臓・血管>>心臓の腫瘍>>粘液腫 

粘液腫は、
一般的に形状が不規則でゼリー状の非癌性原発性腫瘍です。
原発性心臓腫瘍の半数は粘液腫です。
粘液腫の4分の3は、
肺から酸素の豊富な血液を受け取る左心房に発生します。
粘液腫の中には、
家族間で遺伝するものがあります。
遺伝性の粘液腫はたいてい、
20代半ばの男性に多く発生します。
遺伝性ではない粘液腫は女性に多く、
特に40〜60歳の女性によく発生します。
遺伝性ではない粘液腫は、
遺伝性の粘液腫に比べ、
左心房により多く生じる傾向があります。
 左心房の粘液腫は、
根元が細い茎状のところから成長して、
テザーボールのように、
血流に乗って自由に揺れ動きます。
粘液腫は揺れながら、
その近くにある、
左心房から左心室に向けて開く僧帽弁を出たり入ったりします。
このような動きのたびに、
弁が何度も繰り返しふさがったり開いたりするため、
血流が断続的に止まったり再開したりします。
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2019年1月9日水曜日

心臓・血管>>心臓の腫瘍>>治療

心臓・血管>>心臓の腫瘍>>治療

単発性の小さな非癌性原発性心臓腫瘍は、
手術で切除することができ、普通は治癒します。
大きな非癌性原発性心臓腫瘍によって心臓を通過する血流が著しく減少している場合は、
腫瘍の心臓壁内で増殖していない一部を切除することで、
心機能が改善することがあります。
しかし、心臓壁の大部分が腫瘍に侵されている場合は、
手術を行うことはできません。
非癌性横紋筋腫のある新生児の約半数では、
腫瘍は治療しなくても小さくなり、残りの半数でも、
腫瘍はそれ以上大きくなることはないので、
治療は必要ありません。
乳児や小児の線維腫は、
腫瘍が心室と心室の間の壁(中隔)まで及んでいなければ、
完全に切除できます。
腫瘍が中隔に及んでいる場合は、
心臓の電気刺激伝導系も侵されており、
手術はできません。
このような腫瘍がみられる小児は、
普通は幼いうちに不整脈のために死亡します。
線維腫が大きくて、
血流を遮断したり、
周辺組織にまで広がっている場合は、
心臓移植が必要です。
原発性癌性心臓腫瘍は、
手術による切除が不可能で、
普通は致死的です。