2013年10月31日木曜日
消化器≫抗生物質に起因する大腸炎 ②
消化器≫抗生物質に起因する大腸炎 症状
症状は普通は抗生物質の服用中に現れます。
しかしこの大腸炎を起こす人の3分の1は、
治療が終了してから1~10日たつまで症状が現れず、
中には6週間後に症状が現れる場合もあります。
症状は細菌が起こす炎症の程度によって異なり、
便が少し軟らかくなる程度から、
血性の下痢や腹痛、発熱まであります。
最も重症な例では、
脱水、
血圧低下、
中毒性巨大結腸、
大腸穿孔などの生命にかかわる症状が起こります。
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2013年10月30日水曜日
消化器≫抗生物質に起因する大腸炎 ①
抗生物質に起因する大腸炎は、
抗生物質の服用によって常在菌以外の細菌が増殖したために起こる大腸の炎症です。
多くの抗生物質が、
腸内細菌の量と種類のバランスを崩してしまうため、
病原性の細菌の増殖を許してしまい、
それが他の種類に置き換わってしまいます。
過剰繁殖し感染の原因となる最も一般的な細菌は、
クロストリジウム‐ディフィシルです。
クロストリジウム‐ディフィシル感染症では、
大腸の保護粘膜を損傷する2種類の毒素を産生します。
ほとんどの抗生物質がこの病気を起こすことがありますが、
クリンダマイシン、
アンピシリンなどのペニシリン、
セファレキシンなどのセファロスポリン系が最も多くかかわっています。
ほかによく関係する抗生物質には、
エリスロマイシン、
スルファメトキサゾールなどのスルフォンアミド系、
クロラムフェニコール、テトラサイクリン、
ノルフロキサシンなどのキノロン系があります。
クロストリジウム‐ディフィシル感染症は抗生物質が経口投与された場合に最もよく起こります。
しかし、
注射や静脈投与でも起こることがあります。
抗生物質に起因する大腸炎を起こすリスクは、
年齢とともに上昇します。
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2013年10月29日火曜日
消化器≫炎症性腸疾患≫経路変更後の大腸炎
経路変更後の大腸炎
経路変更後の大腸炎は、
大腸下部に起こる炎症で、
手術でつなぎ直した腸管の上の部分を便が通過した後に起こります。
回腸造瘻術
(小腸最後部と腹壁の開口部との間を連結する手術)
や結腸造瘻術(大腸と腹壁の間に開口部をつくる手術)
という手術を受ける場合があります。
これは、
癌、
潰瘍性大腸炎、
憩室炎などを治療する場合や、
外傷による小腸の損傷を治療する場合に行う手術です。
多くの患者では、
大腸のバイパス形成が一時的に必要な場合は特に、
大腸全体または便の流れが迂回するポイントより後方の大腸をそのまま残しておきます。
経路変更後の大腸炎は、
回腸造瘻術や結腸造瘻術の後で、
大腸全体または一部を残した人の約3分の1に起こる疾患で、
直腸から粘液が流れ出たり、
直腸の出血、
疼痛などの症状が術後1年以内に起こります。
症状が軽いので、
患者の多くは治療する必要がありません。
切断された腸を再接合する手術で正常な便の流れを回復すると、
炎症や症状は治まります。
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2013年10月28日月曜日
消化器≫炎症性腸疾患≫コラーゲン性大腸炎・リンパ球性大腸炎 ③
消化器≫炎症性腸疾患≫コラーゲン性大腸炎・リンパ球性大腸炎 治療
抗コリン作用薬および少量のロペラミドやジフェノキシレートなどの下痢止め薬は、
多くの例で効果があります。
また、
次サリチル酸ビスマスなどのサリチル酸、
スルファサラジン、
メサラミンなどの抗炎症薬も有効です。
この病気の原因として感染症は見つかりませんが、
メトロニダゾールやエリスロマイシンなどの抗生物質も効果があります。
プレドニゾロンなどのステロイド薬もよく効きますが、
通常は他の薬による治療に反応しない場合のために取っておきます。
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2013年10月25日金曜日
消化器≫炎症性腸疾患≫コラーゲン性大腸炎・リンパ球性大腸炎 ②
消化器≫炎症性腸疾患≫コラーゲン性大腸炎・リンパ球性大腸炎 症状 診断
コラーゲン性大腸炎やリンパ球性大腸炎の症状は、
出血を伴わない水様性の下痢に加えて、
けいれん性腹痛、
吐き気、
腹部膨張、
体重減少などです。
数日間絶食すると下痢の回数と量が減ります。
下痢とその他の症状はしばしば不安定で、
悪化する時期と、
改善または回復する時期を繰り返します。
コラーゲン性大腸炎とリンパ球性大腸炎の診断は、
水様性下痢が続き、
検査で他の原因が見つからない場合に考慮します。
大腸内視鏡検査(柔軟な観察用チューブによる大腸の検査)
で大腸粘膜の組織を採取し、
顕微鏡で観察して診断を確定します。
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2013年10月24日木曜日
消化器≫炎症性腸疾患≫コラーゲン性大腸炎・リンパ球性大腸炎
コラーゲン性大腸炎とリンパ球性大腸炎は慢性疾患で、
ある種の白血球が大腸粘膜に浸潤し、
水様性下痢を起こす状態です。
これらの慢性疾患は、
S状結腸や直腸を含む大腸全体に影響を及ぼしますが、
しばしば斑状に分布します。
腸の内膜には、
結合組織の1種であるコラーゲン組織が蓄積して肥厚したり、
リンパ球(白血球の1種)の蓄積がみられます。
これらの炎症の原因はわかっていません。
しかし、
未知の何かが引き金になって過剰な免疫反応が起こった結果だと考えられます。
コラーゲン性大腸炎とリンパ球性大腸炎の多くは、
非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)を定期的に使用している場合に起こります。
しかしこれらの薬がこの病気の原因となっているかどうかは証明されていません。
クローン病や潰瘍性大腸炎とは異なり、
コラーゲン性大腸炎とリンパ球性大腸炎では結腸癌のリスクは上昇しません。
コラーゲン性大腸炎は主に中高年の女性に起こり、
リンパ球性大腸炎は若年者に起こりやすく、
男女に等しくみられます。
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2013年10月23日水曜日
消化器≫炎症性腸疾患≫潰瘍性大腸炎 ⑤-4
消化器≫炎症性腸疾患≫潰瘍性大腸炎 治療 ⅳ
手術:
他の治療では寛解が得られない慢性の炎症で患者が衰弱している場合や、
高用量のステロイド療法に慢性的に依存している場合、
手術が必要になります。
まれですが、
壊疽性膿皮症や腕・脚の深部静脈血栓症が重症の場合など、
大腸炎に関連する腸以外の異常が起きた場合にも手術が必要となります。
大腸において癌の診断がついたり、
癌性の変化である形成異常が確認された場合は、
緊急ではなく待機手術を行います。
大腸が狭窄した場合や小児に成長の遅れがみられるときにも手術を行います。
大腸全体と直腸の切除により、
潰瘍性大腸炎は完全に治癒します。
この治療法には、
小腸の最後部と腹壁の開口部との間を手術でつなぐ回腸造瘻術を行い、
腸瘻バッグを生涯にわたって使用するという代償が伴いました。
しかし、
他にもさまざまな方法が開発されており、
その最も一般的な例が回腸‐肛門吻合術です。
この治療法は、
大腸と直腸の大部分を切除し、
小腸に小さな貯蔵部を形成して、
それを肛門のすぐ上の直腸残存部につなぐ手術法です。
この治療法では、
便を排泄するまで体内にとどめておくことができますが、
貯蔵部の炎症などの合併症が起こるおそれがあります。
潰瘍性直腸炎では、
手術が必要になるのはまれで、
余命にも影響はありません。
しかし、
一部には、
どの治療法によっても症状が改善されない例もあります。
中毒性大腸炎は手術を必要とする緊急事態です。
中毒性大腸炎が見つかったり中毒性巨大結腸の疑いがあれば、
即座に下痢止め薬は中止して絶食し、
胃か小腸に経鼻チューブを挿入して定期的に吸引します。
水分と栄養、
薬剤は点滴で投与します。
患者に腹膜炎や穿孔の徴候がないかどうか、
注意深く観察します。
これらの処置で24~48時間以内に症状の改善がみられない場合は、
緊急手術が必要となります。
その場合大腸全体か大腸の大部分を切除します。
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2013年10月22日火曜日
消化器≫炎症性腸疾患≫潰瘍性大腸炎 ⑤-3
消化器≫炎症性腸疾患≫潰瘍性大腸炎 経過 見通 治療 Ⅲ
免疫抑制薬:
アザチオプリンやメルカプトプリンなどの薬は、
長期のステロイド療法でなければ寛解を維持できない潰瘍性大腸炎患者に使われます。
この免疫抑制薬は免疫系で重要な働きをするT細胞の作用を阻害します。
しかしこれらの薬の作用はゆっくりで、
2~4カ月間しないと効果がみられません。
また、
重篤な副作用を起こす可能性があるので、
医師による慎重な経過観察が必要です。
シクロスポリンは、
重篤な再発を起こしステロイド療法でも効果が現れない場合に投与されます。
多くの患者が当初はシクロスポリンに反応しますが、
最終的には手術が必要になるケースもあります。
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2013年10月21日月曜日
消化器≫炎症性腸疾患≫潰瘍性大腸炎 ⑤-2
化器≫炎症性腸疾患≫潰瘍性大腸炎 経過 見通 治療
抗炎症薬:
潰瘍性大腸炎の炎症を軽減させ、
再燃を予防するためにスルファサラジン、
メサラミン、
オルサラジン、
最近開発されたバルサラジドを用います。
これらの薬は普通は経口投与されますが、
メサラミンは浣腸や座薬としても使用できます。
経口投与でも直腸投与でも、
これらの薬は、
軽度から中等度の病気を維持したり寛解するには、
限定的な効果しかありません。
ベッドで安静にしなければならないほど重い炎症でなければ、
プレドニゾロンなどのステロイド薬を経口投与します。
高用量のプレドニゾロンを頻繁に服用すると、
劇的な寛解が得られます。
プレドニゾロンで潰瘍性大腸炎の炎症をコントロールした後に、
改善を維持するためにスルファサラジン、
オルサラジンやメサラミンを投与します。
プレドニゾロンは徐々に用量を減らし、
最終的には投与を中止します。
ステロイド療法が長びくと、
必ず副作用が現れます。
ステロイド薬の新薬、
ブデソニドはプレドニゾロンより副作用が少ないですが、
効果もプレドニゾロンほどではありません。
軽度から中等度の潰瘍性大腸炎が左側の下行結腸と直腸に限局している場合には、
ステロイド薬やメサラミンの座薬を投与します。
症状が重症の場合には、
入院が必要となり、
ステロイド薬と水分を静脈内投与します。
直腸に大量の出血がみられる場合は輸血が必要となります。
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2013年10月18日金曜日
消化器≫炎症性腸疾患≫潰瘍性大腸炎 ⑤-1
消化器≫炎症性腸疾患≫潰瘍性大腸炎 経過 見通 治療 Ⅰ
一般に潰瘍性大腸炎は慢性疾患で、
良くなったり悪くなったり(再燃と寛解)を繰り返します。
全体の約10%が、
急激に進行する初期症状から重篤な合併症を来します。
他の10%は一度の発作だけで完全に回復します。
しかし、
発作が一度だけですむ人は、
実際には潰瘍性大腸炎による潰瘍化ではなく、
見つかっていなかった感染症によることもあります。
経過の見通しは、
炎症と潰瘍が直腸だけに限局している潰瘍性直腸炎が最も良く、
重篤な合併症はほとんどみられません。
しかし、
約10~30%では潰瘍性直腸炎が大腸全体に広がり、
潰瘍性大腸炎となります。
治療は、
炎症を抑え、
症状を軽減し、
体液と栄養素を補うことを目的として行います。
食事制限:
便中に血液が失われることによる貧血は、
鉄剤の補給で改善されます。
炎症を起こしている大腸の内膜が傷つかないように、
生野菜と果物は避けます。
乳製品を含まない食事により、
症状が軽減することがあるので、
試してみる価値はありますが、
効果がなければ続ける必要はありません。
下痢止め薬:
抗コリン作用薬、
または少量のロペラミドやジフェノキシレートは、
比較的症状の軽い下痢に用いられます。
もっと激しい下痢には、
高用量のジフェノキシレート、
脱臭アヘンチンキ、
ロペラミド、
コデインなどが必要になるでしょう。
重症のケースでは、
これらの薬による中毒性巨大結腸を引き起こさないように投与後の状態を慎重に観察します。
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2013年10月17日木曜日
消化器≫炎症性腸疾患≫潰瘍性大腸炎 ④
消化器≫炎症性腸疾患≫潰瘍性大腸炎 診断
症状と便の検査により診断を確定します。
血液検査では貧血や、
白血球数の増加、アルブミン(血液中のタンパク質)濃度の減少、
赤血球沈降速度(ESR)の上昇がみられ、
これらは炎症が活発になっていることを示します。
S状結腸鏡検査(柔軟な観察用チューブを用いたS状結腸の検査)を行うと、
炎症の重症度を直接観察し、診断を確定できます。
症状がない時期でも、
腸全体が正常にみえることはほとんどなく、
病理組織診でも慢性炎症が認められます。
腹部X線検査では、
炎症の程度と広がりがわかります。
バリウム注腸後のX線検査や大腸内視鏡検査は、
この病気の活動期に行うと穿孔を起こすリスクがあるので、
通常は治療を開始する前には行いません。
しかし大腸全体への炎症の広がりを診断するために時期をみて、
大腸内視鏡検査を行います。
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2013年10月16日水曜日
消化器≫炎症性腸疾患≫潰瘍性大腸炎 ③ -3
消化器≫炎症性腸疾患≫潰瘍性大腸炎 合併症 Ⅲ
その他の合併症は、クローン病のそれと同じです。
潰瘍性大腸炎による胃腸症状が再発すると、
関節炎や上強膜炎、
結節性紅斑、
壊疽性膿皮症(えそせいのうひしょう)などの炎症が現れます。
潰瘍性大腸炎による胃腸症状の再発がない時期でも、
脊椎に炎症が生じて強直性脊椎炎となったり、
股関節の炎症(仙腸骨炎)や眼の内部の炎症(ぶどう膜炎)が起こります。
潰瘍性大腸炎では、
普通軽度の肝機能不全がみられますが、
肝臓疾患の症状が現れるのは軽症から重症を含めても1~3%ほどです。
重症の肝臓疾患は、
慢性活動性肝炎や、
胆管が狭くなり、
ついには閉塞する原発性硬化性胆管炎、
肝臓の機能組織が瘢痕(はんこん)化する肝硬変などです。
胆管炎は、
潰瘍性大腸炎の腸症状が現れる何年も前から起こります。
胆管炎になると胆管癌になるリスクがきわめて高くなり、
結腸癌のリスクも高くなります。
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2013年10月15日火曜日
消化器≫炎症性腸疾患≫潰瘍性大腸炎 ③ -2
消化器≫炎症性腸疾患≫潰瘍性大腸炎 合併症 Ⅱ
結腸癌は、
末期の潰瘍性大腸炎患者に毎年100人に1人の割合で発症します。
潰瘍性大腸炎が広範囲にわたる場合は、
100人に10人が結腸癌になります。
結腸癌のリスクが最も高いのは、
病気の活動性に関係なく、
潰瘍性大
腸炎が大腸全体に及んでいる場合と、
罹患期間が8年以上の場合です。
潰瘍性大腸炎が8年以上続く場合、
大腸内視鏡検査(柔軟な観察用チューブを用いた大腸の検査)を毎年または2年に一度は行います。
大腸内視鏡検査の際に、
大腸各所から組織を採取し、
病理組織診を行います。
癌が初期に発見された場合、
ほとんどの人が助かります。
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2013年10月11日金曜日
消化器≫炎症性腸疾患≫潰瘍性大腸炎 ③
消化器≫炎症性腸疾患≫潰瘍性大腸炎 合併症 Ⅰ
出血は最もよくみられる合併症で、
しばしば鉄欠乏性貧血を起こします。
潰瘍性大腸炎になった人のほぼ10%で、
最初の発作が急激に進行して重症になり、
大量の出血と穿孔や広範囲の感染を伴います。
中毒性大腸炎は特に重症の合併症で、
腸壁全体が肥厚して損傷します。
この損傷は、
腸壁の正常な収縮運動が一時的に止まるイレウス(腸閉塞)と呼ばれる状態を起こし、
腸の内容物が前進しなくなり、
腹部が膨満します。
中毒性大腸炎が悪化すると大腸の筋緊張を失い、
数日、
時にはわずか数時間で拡張しはじめます。
腹部X線検査では、
腸の麻痺(まひ)した部分にガスが充満しているのが映ります。
中毒性巨大結腸とは、
大腸が異常に拡張した状態です。
この状態は非常に重篤で、
高熱が出ます。
腹痛と腹部の圧痛があり、
白血球数が増加します。
腸が破裂すると、
死亡するリスクが高くなります。
しかし、
腸が破裂する前に迅速な治療を受けた場合、
死亡率は4%未満です。
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2013年10月10日木曜日
消化器≫炎症性腸疾患≫潰瘍性大腸炎 ②
消化器≫炎症性腸疾患≫潰瘍性大腸炎 症状
潰瘍性大腸炎の症状は再発します。
突然重症の発作が起こり、
激しい下痢、
高熱、
腹痛、
腹膜炎を起こすことがあります。
このような再発の間は、
重態になります。
より多いのは徐々に始まる再発で、
便意が切迫するようになり、
下腹部が軽くけいれんして、
便には血と粘液が混じります。
再発は数日から数週間にわたって続き、
いつでも再発する可能性があります。
炎症が直腸とS状結腸に限局している場合は、
便は正常か硬く乾燥している状態になります。
しかし、
排便中または排便と排便の間に、
大量の赤血球と白血球を含む粘液が直腸から分泌されます。
発熱などの全身症状はみられないか、
あっても軽度です。
炎症が大腸の上の方へ広がると、
便は軟らかくなり、
1日に10~20回ほど排便します。
患者はしばしば重症の腹部けいれんに悩まされ、
痛みを伴う直腸のけいれんにより便意を催します。
夜間も症状は緩和しません。
便は水っぽく、
膿や血液、
粘液を含んでいます。
しばしば便全体が血液と膿になることがあります。
また発熱や食欲不振が起こり、
体重が減少します。
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2013年10月9日水曜日
消化器≫炎症性腸疾患≫潰瘍性大腸炎 ①
消化器≫炎症性腸疾患≫潰瘍性大腸炎
潰瘍性大腸炎とは、
大腸に炎症が起こり、
潰瘍を形成する慢性疾患で、
出血性の下痢や腹部の激しい痛み、
発熱を伴う発作を起こします。
潰瘍性大腸炎はどの年齢にも起こりえますが、
普通は15~30歳で発症します。
少数ながら50~70歳で最初の発作を起こす人もいます。
潰瘍性大腸炎では、
通常は大腸壁がさほど肥厚化せず、
小腸に及ぶこともほとんどありません。
潰瘍性大腸炎は、
直腸やS状結腸から始まるのが通常で、
最終的には大腸の一部または大腸全体に広がります。
発症初期から、
大腸全体が侵される例もあります。
潰瘍性直腸炎は直腸に限局して起こる炎症で、
比較的良性型の潰瘍性大腸炎で、
頻度も多い疾患です。
潰瘍性大腸炎の原因はわかっていません。
しかし遺伝と腸の過剰な免疫反応が関係しています。
タバコの喫煙はクローン病には有害ですが、
潰瘍性大腸炎のリスクは減らしているように思われます。
ただし喫煙はさまざまな健康上の問題を起こす原因となるので、
潰瘍性大腸炎のリスクを下げるために喫煙することは勧められません。
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2013年10月8日火曜日
消化器≫炎症性腸疾患≫クローン病は限局性腸炎 ④-6
消化器≫炎症性腸疾患≫クローン病は限局性腸炎 治療 経過 ⅵ
手術:
腸が閉塞したり、
膿瘍や瘻が治癒しない場合は、
手術が必要になります。
腸の病巣部を切除すると長期にわたって症状が改善されますが、
治癒するわけではありません。
術後に数種類の薬物による治療を始めると緩和できるものの、
残った腸を再接合した部分にクローン病は再発する傾向があります。
最終的には、
半数近くの人に再手術が必要となります。
そのため、
手術を行うのは、
特定の合併症があるか、
薬物療法で効果がなかった場合に限られます。
それでも、
手術を受けた患者の大部分が、
手術前よりも生活の質が改善したと考えています。
クローン病は、
罹患した人の寿命を縮めることはありません。
しかし、
長期にわたるクローン病により消化管の癌を生じ、
それによって死亡する場合があります。
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2013年10月7日月曜日
消化器≫炎症性腸疾患≫クローン病は限局性腸炎 ④-5
消化器≫炎症性腸疾患≫クローン病は限局性腸炎 治療 経過 ⅴ
食事療法:
それぞれの栄養素の分量を正確に測った調整食を使うと、
腸の閉塞状態や瘻を少なくとも短期間改善し、
小児では食事療法をしない場合に比べて、
成長を促すことになります。
この食事療法は術前に、
または手術に加えて実施されます。
ときには高濃度の栄養剤を点滴で投与し、
クローン病に特有の栄養素の吸収不足を補います。
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2013年10月4日金曜日
消化器≫炎症性腸疾患≫クローン病は限局性腸炎 ④-4
消化器≫炎症性腸疾患≫クローン病は限局性腸炎 治療 経過 ⅳ
広域スペクトル抗生物質:
さまざまな細菌類に有効な抗生物質は、
感染による合併症を防ぐために用いられます。
メトロニダゾールは、
肛門周囲の膿瘍や瘻の治療に最もよく使われる薬です。
メトロニダゾールは下痢や腹部の激しい痛みなど、
クローン病の非感染性の症状にも有効です。
しかし、
長期間使用すると神経障害を起こし、
腕や脚の皮膚にチクチクする感覚を生じます。
この副作用は、
服用を中止すると止まりますが、
服用を中止するとクローン病が再発するのが一般的です。
シプロフロキサシンやレボフロキサシンなどの抗生物質がメトロニダゾールの代用として、
あるいは併用して用いられます。
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2013年10月3日木曜日
消化器≫炎症性腸疾患≫クローン病は限局性腸炎 ④-3
消化器≫炎症性腸疾患≫クローン病は限局性腸炎 治療 経過 Ⅲ
免疫抑制薬:
アザチオプリンやメルカプトプリンなどの薬は、
免疫系の作用を調節し、
他の薬剤で改善されないクローン病に効果があり、
特に長期間の寛解(症状が改善された状態)を保つのに有効です。
免疫抑制薬は全身状態を大きく改善し、
ステロイド薬の必要量を減らし、
しばしば瘻が治ります。
しかし、
免疫抑制薬は効果が現れるまでに2~4カ月かかり、
重症の副作用も起こります。
そのため、
医師はアレルギー反応や膵炎、
白血球数の減少を注意深く監視します。
新たに開発された血液検査により、
安全で効果的な服用量を決めることができます。
メトトレキサートは、
1週間に1回注射で投与し、
ステロイド薬やアザチオプリン、
メルカプトプリンに反応しなかったり、
これらの薬の使用に耐えられない場合に用います。
高用量のシクロスポリンは炎症を軽減し、
瘻を治しますが、
長期間安全に使用することができません。
インフリキシマブは、
モノクローナル抗体からつくられた薬で、
免疫系の作用を変える薬の1つです。
インフリキシマブは、
他の薬で効果がみられない中等度から重度のクローン病患者に静脈注射します。
しかし、
1回の注入が有効な期間が短いため、
次の注入までの間に別の治療を必要とします。
インフリキシマブは比較的新しい薬なので、
長期間使用した場合の有効性と副作用については、
まだわかっていません。
ほかにも免疫系を調節するさまざまな薬剤の開発が現在行われています。
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2013年10月2日水曜日
消化器≫炎症性腸疾患≫クローン病は限局性腸炎 ④-2
消化器≫炎症性腸疾患≫クローン病は限局性腸炎 治療 経過 Ⅱ
抗炎症薬:
スルファサラジン、
メサラミン、
オルサラジン、
バルサラジド(スルファサラジンと化学的に類似した薬剤)は、
炎症を軽減します。
これらの薬は、
特に大腸の炎症を軽減し症状を抑えます。
メサラミンは再発予防にわずかながら効果があります。
しかし、
これらの薬はすべて、
重症の再発例にはあまり効果がありません。
プレドニゾロンなどのコルチコステロイド薬を経口投与すると、
発熱と下痢を劇的に軽減し、
腹痛と圧痛を緩和し、
食欲や体調が良くなります。
しかし、
ステロイド療法を長期に続けると、
まず間違いなく副作用が起こります。
一般的な投与法は、
炎症と症状を軽減するために高用量を投与したら、
その後は用量を減らし、
できるだけ短期に終了させます。
新しいステロイド薬のブデソニドは、
プレドニゾロンより副作用が少ないですが効果も少なく、
一般に6~9カ月後の再発を防止できません。
症状が重くなった場合は、
入院してステロイド薬を静脈注射します。
当初は、
患者は絶食して輸液で体内の水分を維持・回復します。
重症の直腸出血がある場合には輸血が必要となり、
軽度の貧血がある場合には鉄剤を補給します。
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2013年10月1日火曜日
消化器≫炎症性腸疾患≫クローン病は限局性腸炎 ④-1
消化器≫炎症性腸疾患≫クローン病は限局性腸炎 治療 経過
クローン病を治癒する方法はありませんが、
さまざまな治療法で痛みを和らげ、
症状を軽減することができます。
下痢止め薬:
これらの薬は腹痛と下痢を緩和します。
これらには、
神経系の正常な作用を部分的にブロックする抗コリン作用薬、
ジフェノキシレート、
ロペラミド、
脱臭アヘンチンキ、
コデインなどがあり、
食前に内服します。
メチルセルロースやオオバコ種子製剤の服用も、
便を硬くして肛門の炎症を軽減するのに役立ちます。
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