2019年1月31日木曜日

心臓・血管>>アテローム動脈硬化 Ⅲ

心臓・血管>>アテローム動脈硬化 Ⅲ


アテローム動脈硬化では、

リンパ球、単球、

マクロファージといった特定の白血球が、

その発症・進展の過程を通して出現していることから、

炎症反応が関与しているとも考えられています。

これらの白血球は炎症が起きているときにのみ集まってくる細胞です。

アテローム動脈硬化は、

単球が活性化され、

血流中から動脈壁内に入りこむことから始まります。

単球は、

そこでコレステロールやその他の脂肪性物質をためこむ泡沫細胞へ変化します。

やがて、

これらの脂肪性物質を豊富に含んだ泡沫細胞が蓄積します。

こうして、動脈壁の肥厚を引き起こす、

動脈内壁のまだらな沈着物(アテローム)が形成されます。

感染症も、

アテローム動脈硬化の一因です。

感染症には、

肺炎を引き起こす肺炎クラミジア、

胃潰瘍を起こすヘリコバクター‐ピロリ(H.ピロリ)などの微生物や、

まだ見つかっていないウイルスによるものが考えられます。

感染症が動脈内壁を傷つけることで、

アテローム動脈硬化が始まります。

アテロームは中動脈や大動脈に広範囲に形成されますが、

普通は動脈が分岐している部位に形成されます。おそらく、

これらの部位では、絶え間なく血液の乱流が起こり、

動脈内壁を傷つけることから、

アテロームが形成されやすいのだと考えられます。

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2019年1月30日水曜日

心臓・血管>>アテローム動脈硬化 Ⅱ

心臓・血管>>アテローム動脈硬化 Ⅱ


アテローム動脈硬化は、脳、心臓、腎臓、

その他の命にかかわる臓器や脚の中動脈や大動脈に損傷を与えます。

アテローム動脈硬化は、

動脈壁が肥厚して弾力性がなくなる病態の総称である動脈硬化の中で、

最も重大で、

最も多くみられる種類です。

アテローム動脈硬化がなぜ発生するかについては、

2つの主な説があります。

1つは、

血液中に高い濃度で存在するコレステロールが、

動脈の内壁を損傷して、

炎症反応を引き起こし、

そこへコレステロールや他の脂肪性物質の蓄積が促進され、

アテロームが形成されるという説です。

もう1つは、

免疫系に関与するさまざまなしくみや直接的な毒性によって、

動脈壁の損傷が繰り返される変化によってアテロームが生じるという説です。

これら2つの説は相互関係があって、

互いに矛盾するものではありません。

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2019年1月29日火曜日

心臓・血管>>アテローム動脈硬化

心臓・血管>>アテローム動脈硬化 

アテローム動脈硬化とは、
脂肪性物質のまだらな沈着物が、
中動脈や大動脈の内壁で大きくなるため、
血流が減少したり、
遮断されたりする病気です。
ほとんどの欧米諸国で、
アテローム動脈硬化は主要な病因および死因です。
米国だけでも1996年のアテローム動脈硬化による死亡者数は100万人近くと、
癌(がん)による死亡の2倍、
事故による死亡の10倍を占めています。
医学の著しい進歩にもかかわらず、
冠動脈疾患による心臓発作と、
脳卒中は、
ほかのすべての原因を合わせたよりも多数の死亡の原因となっています。
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2019年1月24日木曜日

心臓・血管>>心臓の腫瘍>>癌性腫瘍 診断 治療

心臓・血管>>心臓の腫瘍>>癌性腫瘍 診断 治療


癌性心臓腫瘍の診断は、

非癌性心臓腫瘍の診断と同様の方法で行います。

続発性腫瘍については、

その原発部位がまだわかっていなければ、

それを突き止めるための検査を行います。

原発性、続発性にかかわらず、

癌性心臓腫瘍はほとんど完治が望めないことから、

治療は症状を緩和するために計画されます。

腫瘍の種類に基づいて、

放射線療法あるいは化学療法が実施されます。

2019年1月22日火曜日

心臓・血管>>心臓の腫瘍>>癌性腫瘍

心臓・血管>>心臓の腫瘍>>癌性腫瘍


癌性原発性心臓腫瘍はきわめてまれな病気で、

原発性心臓腫瘍の約4分の1です。

最も一般的なものは、

血管組織から発生する肉腫です。

続発性心臓腫瘍ははるかに発生率が高いのですが、

どの程度多いかは不明です。

症状

T癌性心臓腫瘍の症状は、

非癌性心臓腫瘍の症状と本質的に同じで、

腫瘍の発生した部位によってさまざまです。

しかし、癌性腫瘍は非常に増殖が速いので、

その症状は非癌性腫瘍の症状よりも急速に悪化する傾向があります。

その他の症状は、

突然発症する心不全、

不整脈、心機能を低下させ、

心タンポナーデを起こす心膜内への出血などです。

癌性原発性心臓腫瘍は脊椎や、

その周辺組織、

肺や脳などの臓器に転移する可能性があります。

続発性心臓腫瘍の症状には、

原発性腫瘍によって起こる症状と、

体の他の部分へ転移した腫瘍によって起こる症状が含まれます。

肺癌や乳癌などは、

直接心臓に浸潤して広がり、

しばしば心膜内に転移します。

転移した癌によって血液や体液が心膜内に蓄積して心臓が圧迫されます。

癌はまた、

血流やリンパ系を通じて心筋や心房、

心室にも転移します。

これにより、心不全症状が起こります。

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2019年1月16日水曜日

心臓・血管>>心臓の腫瘍>>粘液腫 診断 治療

心臓・血管>>心臓の腫瘍>>粘液腫 診断 治療


粘液腫は症状に基づいて推測されます。

聴診では、

僧帽弁から血液が逆流する僧帽弁逆流により生じる心雑音が聞こえます。

この原因として、

非常にまれなものは粘液腫による僧帽弁の損傷、

比較的多くみられるものはリウマチ熱による損傷です。

腫瘍かリウマチ熱かは普通、

心音と病歴から鑑別できます。

診断は、

心エコー検査で確定します。

その他の方法として、

血管造影検査、

CT検査、

MRI検査、

生検などが、

ときに必要になります。

粘液腫は、

外科的切除によってたいていは治癒します。

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2019年1月15日火曜日

心臓・血管>>心臓の腫瘍>>粘液腫 症状

心臓・血管>>心臓の腫瘍>>粘液腫 症状


左心房に粘液腫のある人が立ち上がると息切れを感じたり、

失神したりします。

立っている状態では、

重力によって粘液腫が開いている僧帽弁の中に引っぱりこまれるため、

心臓を通る血流が遮断されます。

そのため一過性の心不全が起こります。

横になると、粘液腫が僧帽弁から離れるため、

症状が軽くなります。

粘液腫の破片や粘液腫の

表面に形成された血液のかたまりが砕かれて塞栓となって血流に乗り、

他の臓器に移動し、

そこの動脈を詰まらせる可能性があります。

その結果生じる症状は、

どの動脈が遮断されるかによって異なります。

たとえば、脳内の動脈が詰まると脳卒中が起こり、

肺の中の動脈が詰まると痛みや喀血を起こします。

粘液腫のその他の症状として、

発熱、体重減少、

レイノー現象、

赤血球数の低下(貧血)、

白血球数の上昇、

血小板数の低下などがあります。

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2019年1月14日月曜日

心臓・血管>>心臓の腫瘍>>粘液腫

心臓・血管>>心臓の腫瘍>>粘液腫 

粘液腫は、
一般的に形状が不規則でゼリー状の非癌性原発性腫瘍です。
原発性心臓腫瘍の半数は粘液腫です。
粘液腫の4分の3は、
肺から酸素の豊富な血液を受け取る左心房に発生します。
粘液腫の中には、
家族間で遺伝するものがあります。
遺伝性の粘液腫はたいてい、
20代半ばの男性に多く発生します。
遺伝性ではない粘液腫は女性に多く、
特に40〜60歳の女性によく発生します。
遺伝性ではない粘液腫は、
遺伝性の粘液腫に比べ、
左心房により多く生じる傾向があります。
 左心房の粘液腫は、
根元が細い茎状のところから成長して、
テザーボールのように、
血流に乗って自由に揺れ動きます。
粘液腫は揺れながら、
その近くにある、
左心房から左心室に向けて開く僧帽弁を出たり入ったりします。
このような動きのたびに、
弁が何度も繰り返しふさがったり開いたりするため、
血流が断続的に止まったり再開したりします。
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2019年1月9日水曜日

心臓・血管>>心臓の腫瘍>>治療

心臓・血管>>心臓の腫瘍>>治療

単発性の小さな非癌性原発性心臓腫瘍は、
手術で切除することができ、普通は治癒します。
大きな非癌性原発性心臓腫瘍によって心臓を通過する血流が著しく減少している場合は、
腫瘍の心臓壁内で増殖していない一部を切除することで、
心機能が改善することがあります。
しかし、心臓壁の大部分が腫瘍に侵されている場合は、
手術を行うことはできません。
非癌性横紋筋腫のある新生児の約半数では、
腫瘍は治療しなくても小さくなり、残りの半数でも、
腫瘍はそれ以上大きくなることはないので、
治療は必要ありません。
乳児や小児の線維腫は、
腫瘍が心室と心室の間の壁(中隔)まで及んでいなければ、
完全に切除できます。
腫瘍が中隔に及んでいる場合は、
心臓の電気刺激伝導系も侵されており、
手術はできません。
このような腫瘍がみられる小児は、
普通は幼いうちに不整脈のために死亡します。
線維腫が大きくて、
血流を遮断したり、
周辺組織にまで広がっている場合は、
心臓移植が必要です。
原発性癌性心臓腫瘍は、
手術による切除が不可能で、
普通は致死的です。