腎動脈の閉塞
腎動脈は2本あり、
1本は右の腎臓に、
もう1本は左の腎臓に血液を供給しています。
これら2本の腎動脈はさらに、
多数の細い動脈に枝分かれしています。
腎動脈やその太い分枝が閉塞することはめったにありません。
閉塞はたいていの場合、
体内の別の部位で発生した血栓が流れてきて腎動脈でつかえて起こります(塞栓)。
主に、心臓で発生した大きな血栓のかけらや、
大動脈で形成された脂肪性沈着物(アテローム)の断片が塞栓を起こします。
腎動脈の中で血栓が生じて閉塞を起こすこともあり、
たいていは損傷のある部位で起こります。
突然の損傷は、
たとえば外科手術、
血管造影、
血管形成といった医療行為によって引き起こされます。
また、
アテローム動脈硬化、
動脈炎、
動脈瘤(どうみゃくりゅう:動脈壁の部分的なふくらみ)
によって徐々に損傷を受けた腎動脈の部位に血栓が生じることもあります。
大動脈または腎動脈の内層が裂けると、
血流が突然さえぎられます。
また、腎動脈が破裂することもあります。
脂肪性物質の沈着(アテローム動脈硬化)
や線維性物質の形成(線維形成異常症)
が原因で動脈壁の肥厚と硬化が起こると、
血管が裂けやすくなります。
こうした病気によって、
血栓がなくても腎動脈が狭くなり、
部分的な閉塞が生じます。
このような状態を腎動脈狭窄といいます。
腎動脈に部分的な閉塞が生じても、
たいていは何の症状も出ません。
閉塞が進むと、
腰やときには下腹部に間断なく、
うずくような痛みが生じます。
部分的な閉塞によって次第に血圧が上昇し、
以前から高血圧だった場合には、
片方もしくは両方の腎動脈が徐々に狭窄していくと、
高血圧が突然悪化します。
こうした人にアンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬や
アンジオテンシンII受容体拮抗薬を投与すると、
腎機能が急速に低下します。
ただちに薬の投与を中止すれば、
腎機能は回復します。
血栓が別の部位から流れてきて、
腎動脈の分枝でつかえて閉塞を起こしたのであれば、
腸、
脳、
手足の指など他の部分にも血栓ができている場合があります。
これらの血栓は各部位に痛みを引き起こすだけでなく、
小さな潰瘍や壊疽(えそ)、
または軽い脳卒中を起こします。
いずれかの腎動脈が完全に閉塞すると、
発熱、
吐き気、
嘔吐、
背中の痛みが起こります。
まれに、
閉塞によって出血が起こり、
尿が赤や暗褐色になります。
両方の腎動脈が完全に閉塞するか、
1個しか腎臓がない人の場合は1本の腎動脈が完全に閉塞すると、
尿がまったくつくられなくなり、
急性腎不全の状態になります。
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2012年12月5日水曜日
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