神経は、神経筋接合部で筋肉と連結しています。
神経線維の終末は、この接合部で運動神経終板と呼ばれる筋膜の特別な部分とつながっています。
運動神経終板には受容体があり、神経筋接合部を介して信号を伝えるために神経から分泌される化学物質(神経伝達物質)のアセチルコリンに筋肉が反応できるようになっています。
接合部で神経が筋肉を刺激した後、筋肉内を電気信号が流れ、収縮が起こります。
神経筋接合部の機能不全の原因となる病気には重症筋無力症、ボツリヌス中毒、イートン‐ランバート症候群などがあります。
また多くの薬(著しく高用量のいくつかの抗生物質を含む)、有機リン酸塩などの殺虫剤の一部、植物の抽出物で手術用の麻酔に用いるクラーレ、化学戦争に用いられる神経ガスも神経筋接合部の機能不全を引き起こします。
これらの物質のいくつかは、神経信号が筋肉に伝えられた後に起こるアセチルコリンの分解を妨げます。
重症筋無力症
重症筋無力症は、神経と筋肉間の信号の伝達が障害される自己免疫疾患で、筋力低下を引き起こします。
重症筋無力症は女性に多く、通常は20?40歳の間に発症します。しかし、どの年齢層の男女でも起こりえます。
重症筋無力症では、免疫系のつくる抗体が、神経伝達物質のアセチルコリンと反応する神経筋接合部の筋肉側の受容体を攻撃します。
何が原因で、体が自分のアセチルコリン受容体を攻撃する自己免疫反応を起こすのか不明です。
ある理論では、胸腺の機能不全との関連が考えられています。
免疫系の一部の細胞は、胸腺で自分の体と異物とを区別する能力を獲得します。
胸腺には、アセチルコリン受容体をもつ筋肉の細胞も含まれています。
重症筋無力症は、未知の理由で、胸腺が免疫系の細胞にアセチルコリン受容体を攻撃する抗体をつくるよう指示した結果だと推定されます。
の自己免疫異常素因は遺伝することがあります。
重症筋無力症の人の約10%に、胸腺の腫瘍(胸腺腫)が見つかっていて、その約半分が癌性(悪性)です。
アセチルコリン受容体を攻撃する抗体は、血流に乗って体内を循環し妊婦の胎盤を通じて胎児にも届きます。
この病気の女性から生まれた新生児の12%に、この侵入した抗体によって新生児筋無力症が起こり、筋力低下の症状が現れます。
これは生後数日から数週間で消えます。
残り88%の新生児はこの病気になりません。
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2011年11月18日金曜日
末梢神経障害!『筋肉刺激異常』 ④
筋肉刺激異常 治療
運動ニューロン疾患には、特異的な治療法がありません。
理学療法は、筋力維持と筋肉の硬直(拘縮)の予防に効果があります。
嚥下困難がある人は、食べたものがのどに詰まらないよう注意が必要です。
一部の人は腹壁を通して胃に挿入したチューブ(胃瘻[いろう]チューブ)から栄養液を送りこまなければなりません。
バクロフェン、フェニトイン、キニーネは、けいれんの抑制に効果があります。
抗うつ薬のアミトリプチリンは、抗うつ作用のためではなく、抗コリン作用で唾液の分泌を抑制するのに使われます。
筋萎縮性側索硬化症と進行性球麻痺は、進行性で不治の病気のため、これらの病気になった場合にはあらかじめ、終末期のケアに関する本人の要望を記した事前指示書(アドバンス・ディレクティブ)を作成しておくことが勧められています。
神経の過剰亢進による症候群
神経はときに、電気信号を何度も筋肉に送信して過剰な刺激を引き起こすことがあります。
この過剰亢進は、スティッフマン症候群とアイザック症候群の一因と考えられています。
スティッフマン症候群とは、体幹(胴体)、腹部、脚の筋肉が徐々に硬くなる病気で、腕、頭部、首の筋肉はそれほど障害されません。
侵された筋肉は太くなります。
スティッフマン症候群は女性に多く、原因は自己免疫反応の可能性があります。
グルタミン酸デカルボキシラーゼに対する抗体が見つかりますが、この抗体が症状を起こしているのかどうかは不明です。
鎮静薬のジアゼパムが有効で、筋肉の硬直を着実に和らげます。
血液中の有毒物質をフィルターで取り除く血漿交換が行われることがありますが、効果がないこともよくあります。
治療しなければ病気が進行して、全身の筋肉硬直と身体障害をもたらします。
アイザック症候群は、原因不明のまれな病気です。
特に、腕と下肢の筋肉が持続的に単収縮して、「イモムシ」のような動きをします。この症状は筋波動と呼ばれます。
さらに手足は間欠的なけいれんとれん縮を起こします、筋肉の硬直は一般的で、発汗が増加するでしょう。
抗けいれん薬のカルバマゼピンやフェニトインで、症状を軽減できます。
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理学療法は、筋力維持と筋肉の硬直(拘縮)の予防に効果があります。
嚥下困難がある人は、食べたものがのどに詰まらないよう注意が必要です。
一部の人は腹壁を通して胃に挿入したチューブ(胃瘻[いろう]チューブ)から栄養液を送りこまなければなりません。
バクロフェン、フェニトイン、キニーネは、けいれんの抑制に効果があります。
抗うつ薬のアミトリプチリンは、抗うつ作用のためではなく、抗コリン作用で唾液の分泌を抑制するのに使われます。
筋萎縮性側索硬化症と進行性球麻痺は、進行性で不治の病気のため、これらの病気になった場合にはあらかじめ、終末期のケアに関する本人の要望を記した事前指示書(アドバンス・ディレクティブ)を作成しておくことが勧められています。
神経の過剰亢進による症候群
神経はときに、電気信号を何度も筋肉に送信して過剰な刺激を引き起こすことがあります。
この過剰亢進は、スティッフマン症候群とアイザック症候群の一因と考えられています。
スティッフマン症候群とは、体幹(胴体)、腹部、脚の筋肉が徐々に硬くなる病気で、腕、頭部、首の筋肉はそれほど障害されません。
侵された筋肉は太くなります。
スティッフマン症候群は女性に多く、原因は自己免疫反応の可能性があります。
グルタミン酸デカルボキシラーゼに対する抗体が見つかりますが、この抗体が症状を起こしているのかどうかは不明です。
鎮静薬のジアゼパムが有効で、筋肉の硬直を着実に和らげます。
血液中の有毒物質をフィルターで取り除く血漿交換が行われることがありますが、効果がないこともよくあります。
治療しなければ病気が進行して、全身の筋肉硬直と身体障害をもたらします。
アイザック症候群は、原因不明のまれな病気です。
特に、腕と下肢の筋肉が持続的に単収縮して、「イモムシ」のような動きをします。この症状は筋波動と呼ばれます。
さらに手足は間欠的なけいれんとれん縮を起こします、筋肉の硬直は一般的で、発汗が増加するでしょう。
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末梢神経障害!『筋肉刺激異常』 ③
筋肉刺激異常 診断
成人に痛みや感覚の消失を伴わない進行性の筋力低下がある場合、これらの疾患が疑われます。
筋力低下の原因はたくさんあり、その原因を絞りこむために診断学的検査が行われます。
たとえば筋肉の電気活動を記録する筋電図は、神経と筋肉のどちらに問題があるのかを決定するのに役立ちます。
しかし、どの神経障害によるものかまでは判定できません。
診断は発症時に障害が現れた体の部位、初期症状、症状の経時的変化などに基づいて行われます。
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たとえば筋肉の電気活動を記録する筋電図は、神経と筋肉のどちらに問題があるのかを決定するのに役立ちます。
しかし、どの神経障害によるものかまでは判定できません。
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