2011年10月2日日曜日

痴 呆!『アルツハイマー病』 ②

アルツハイマー病 症状

アルツハイマー病による痴呆は、通常気づかないうちに始まります。


会社に勤めているときであれば仕事に支障が出ますが、退職して家でじっとしている人の場合は、発症していても目立ちません。


最初の徴候は最近の出来事を忘れることですが、うつ、恐怖、不安、感情の乏しさなど、人格の変化から始まる場合もあります。


初期の段階では、判断力と抽象的な思考力が阻害されます。


話し方にわずかな変化が出てきて、より簡単な単語や不正確な言葉を使ったり、適切な言葉を探せなくなります。


標識の意味がわからなくなって車の運転が困難になります。


アルツハイマー病の患者は、社会生活はできるものの、行動が普通ではなくなります。


たとえば最近訪ねて来た人の名前を忘れたり、感情がめまぐるしく変化したり、買い物に出かけて道に迷ったりします。


アルツハイマー病が進行すると過去の記憶も失われてきます。


食事、着替え、入浴、トイレに介助が必要になります。徘徊、興奮、イライラ、敵意、攻撃的な行動がみられるようになります。


時間と場所の感覚がすべて失われるため、家の中ですらトイレへ行こうとして迷ったりします。


こうした錯乱状態がひどくなると転倒しやすくなります。


アルツハイマー病患者の約半数が、いずれかの時点で幻覚、妄想、パラノイアを伴う精神病を起こします。


最終的には、歩行や身の回りのことがまったくできなくなります。


失禁するようになり、ものを飲みこんだり、食べたり、話したりもできなくなるため、栄養不足、肺炎、床ずれなどが起こりやすくなります。


記憶は完全に失われます。


こうなると全面的に他者に依存することになるので、特別養護老人ホームなどへの入居も必要になります。


最終局面では、しばしば感染症を起こして昏睡から死亡に至ります。


病気が進む速さは予測困難です。


診断確定後2~10年は生存可能と考えられていますが、通常は3~5年で亡くなります。


平均すると歩けなくなってから6カ月以内に死亡しています。


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痴 呆!『アルツハイマー病』

アルツハイマー病は、進行性の容赦ない精神機能の消失で、神経細胞の消失、老人斑の発現、神経原線維の変化など、特徴的な脳組織の変性が起こります。

痴呆の最も多い原因がアルツハイマー病です。


高齢者の痴呆の最大65%がアルツハイマー病によって起きています。


60歳未満の人に起こることは非常にまれで、患者の数は高齢になるほど増えていきます。


60~64歳では人口の約1%に過ぎないのに対し、85歳以上になると30%にまで跳ね上がります。



アルツハイマー病の原因はわかっていませんが、遺伝的要因も一役買っています。


同じ親族に起こるケースでは、複数の特定遺伝子の異常が原因となっています。


異常の1つは、血流中でコレステロールを輸送しているリポタンパクのタンパク部分であるアポリポタンパクE(apoE)に影響します。


apoEには、e2、e3、e4の3種類があり、e4をもっている人はアルツハイマー病を発症しやすく、他のタイプよりも若いうちに起こります。


対照的に、e2がある人はアルツハイマー病から保護されているようです。


e3タイプの人は、アルツハイマー病にかかりにくいとも、かかりやすいともいえません。


これらの関連は。


apoEのタイプを遺伝学的に調べるだけでは、アルツハイマー病を発症するかどうかまでは判定できないので、検査は日常的には推奨されていません。


アルツハイマー病は、脳の複数の領域を変性させ、神経細胞を破壊します。


さらに残った神経細胞についても、脳の信号を送っている神経伝達物質に対する応答を低下させます。


脳組織に起こる異常には、アミロイドと呼ばれる異常な不溶性タンパク質を含む死んだ神経細胞のかたまりである老人斑と、神経細胞にねじれたひも状の不溶性タンパク質が現れる神経原線維の変化があります。


これらの異常は、年をとればどの人にもある程度は現れますが、アルツハイマー病の人にはおびただしく発生します。



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痴 呆! ⑤

痴 呆 治療


ほとんどの痴呆は、どのような治療を行っても精神機能の回復はまず望めません。


しかし痴呆を悪化させている病気を治すことで、機能低下の進行を遅らせることができます。


痴呆とうつ病の両方がある場合には、セルトラリンやパロキセチンなどの抗うつ薬とカウンセリングが、少なくとも一時的には効果があります。


禁酒により長期的な改善が期待できます。


環境対策: 療養のための環境を整えることも、非常に大切な治療になります。


軽度から中等度の痴呆患者は、慣れた環境にいるときが最も精神機能が良いため、通常は自宅で療養できます。


訪問看護師が自宅の安全面を評価し、改良すべき点は直します。


たとえば薄暗い照明は危険なだけでなく、ものを正しく見分けられない症状をさらに悪化させる傾向があるため、明るいものに取り換えます。


慣れた建物の造りと毎日の決まったスケジュールも、痴呆患者の見当識を安定させ、安心感を与えます。


ストレスの少ない活動を、毎日規則正しく行うようにスケジュールを組んであげると、自立していると感じられるようになります。


また楽しい生産的な作業に注意を向けさせると、自分が必要とされていると感じさせることができます。


このような活動はうつ症状を軽くする効果もあります。


身体活動は特に大切で、興奮や徘徊などの異常行動を防ぐ効果があります。


趣味や、最近の関心事、読書などの精神活動を続けるように励ましていきます。


過度の刺激は避けるべきですが、患者が社会的に孤独だと感じないようにします。


毎日の決まった行動を単純にして、患者には現実的な期待をもち、患者が威厳と自尊心を維持できるようにすれば、若干の改善もみられるでしょう。


痴呆は進行性なので、将来の計画をあらかじめ立てておくことが必須です。


その計画作りには医師、ソーシャルワーカー、看護師、弁護士のアドバイスも必要ですが、最も大きな責任は家族にかかってきます。


より介護体制が整った施設に移すことを決めたときには、痴呆の人が安全に暮らせて、自立心をできるだけ長く失わずに暮らすことができるような施設を探します。


この施設選びの際には、痴呆の程度、家庭環境、家族や介護者を頼めるか、費用、痴呆とは無関係な病気や身体的トラブルの有無など、多くの要素を考慮します。












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