ヒストプラスマ症はヒストプラスマ‐カプスラーツムという真菌が起こす感染症で、主に肺を侵しますが、全身に広がることもあります。
農作業に従事する人などが胞子を吸いこむことが多く、大量の胞子を吸いこんだ場合には重症になります。
ヒト免疫不全ウイルス(HIV)に感染している人は、全身性のヒストプラスマ症によくかかります。
ヒストプラスマ症 症状 診断
ヒストプラスマ症にかかっても、ほとんどの人は症状がありません。
しかし、急性、進行性播種性、慢性空洞性の3種類のタイプでは、症状が現れます。
急性ヒストプラスマ症では、胞子を吸いこんでから3〜21日後に具合が悪くなり、熱やせきなどの症状が出ます。
たいていの場合、治療しなくても2週間もすれば症状は消え、6週間以上続くことは非常にまれです。
このタイプの場合、命にかかわることはまずありません。
進行性播種性ヒストプラスマ症は、健康な成人がかかることはほとんどなく、たいていは乳児や、エイズ患者など免疫機能が低下している人に起こります。
症状は初めのうちははっきりせず、疲労感、脱力感、全身のけん怠感から始まってゆっくり進行することもあれば、急激に悪化することもあります。
肝臓、脾臓、リンパ節の腫れがみられ、口の中や腸に潰瘍(かいよう)ができることもあります。
まれなケースでは、副腎が侵され、アジソン病を発症することがあります。
治療を行わないと、このタイプのヒストプラスマ症は致死率が90%と非常に高く、治療を行っても、エイズ患者では急速に死に至ることがあります。
慢性空洞性ヒストプラスマ症は数週間かけてゆっくり進行する肺の感染症で、せきが出て、呼吸がだんだん苦しくなってきます。
体重減少、軽い発熱、全身のけん怠感などの症状もみられますが、多くは治療をしなくても2〜6カ月以内に回復します。
ただし、呼吸困難が次第に悪化することがあり、大量喀血が起こる場合もあります。
こうした肺の障害や細菌による肺感染症が起こると、やがて死に至ることがあります。
診断には、感染した人からたん、骨髄、尿、血液などのサンプルを採取します。
肝臓、リンパ節、口内の潰瘍からサンプルを採取することもあります。
これらのサンプルは培養検査に出し、調べてもらいます。
ヒストプラスマ症 経過 治療
急性のヒストプラスマ症では、薬物治療が必要になることはめったにありません。
進行性播種性の場合は治療が必要で、アムホテリシンBの静脈内投与やイトラコナゾールの内服が有効です。
慢性空洞性のヒトプラスマ症では、イトラコナゾールやアムホテリシンBで真菌を除去することはできても、
感染症により破壊された部分が瘢痕(はんこん)になり、慢性閉塞性肺疾患にみられるような呼吸困難が残ります。
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たがって、できるだけ早く治療を開始して、肺の障害を最小限にする必要があります。
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