治療
ほとんどの股関節骨折には手術を行います。
手術の方法は骨折の種類により異なります。
重い大腿骨頸部骨折では大腿骨頭への血流が妨げられるため、手術して骨片を除去します。
大腿骨頸部が不完全骨折である場合(途中までひびが入った状態)、
手術で金属製のボルトを挿入し、大腿骨頭を固定します(内固定手術)。
これは比較的軽い手術で、本人の股関節を温存することができます。
転子部骨折は、スライド型圧縮スクリューやサイドプレートなどの
インプラントを使用して治療します。
インプラントによって治癒するまでの間骨片を正しい位置に保つことができます。
骨片はしっかりと固定されるため、患者は荷重に耐えられます。
骨折は普通2~3カ月で治癒しますが、
以後も少なくとも6カ月間は痛みの軽快や、
筋力、歩行能力の回復が続きます。
股関節部分置換術を行う場合、
特殊な金属製インプラントの磨かれた球面を関節窩
(かんせつか:関節の受け皿側)に埋めこみ、
頑丈なステムを大腿骨の髄腔にはめこみます。
人工関節用のインプラントには短時間で固まる合成樹脂のセメント
を使って骨に固定するものがあります。
その他のインプラントは特殊な多孔質またはセラミックの表面加工により、
周囲の生きた骨が成長してその中に食いこみ、
直接結合できるようになっています
人工関節置換術を受けた患者は、
術後すぐに松葉づえか歩行器を使って歩行を開始し、
6週間以内に歩行器からつえに切り替えます。
ただし、人工関節は永久に使えるものではありません。
特に活動的な人や体重の重い人は10~20年後に再手術が必要になることがあります。
人工関節置換術は高齢者に向いた治療法です。
これは高齢者は再手術を受ける可能性が非常に低く、
術後に寝こむことなくすぐに歩行できるのが大きな利点となるためです。
関節全体を置換する場合もあります。
この方法(人工関節全置換術)は、通常の骨折に対して行うことはまれで、
変形性関節症に最も多く行われます。
股関節骨折のため寝たきりになると、褥瘡、血液凝固による肺塞栓症、精神錯乱、
肺炎などの重大な合併症のリスクが増大します。
手術の大きな利点は、患者がベッドから起き上がり、
術後すぐに歩行を始められることです。
術後1~2日すれば歩行器を使って数歩歩くことができます。
できるだけ早くリハビリテーションが開始されます。
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2011年7月5日火曜日
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