脊髄圧迫診断
脊髄は特異的な構造をした組織なので、医師は症状と診察の結果に基づいて脊髄の損傷部位が特定できます。
たとえば、腕でなく脚の筋力低下やしびれがあり、膀胱と腸の機能が阻害されている場合は、胸椎領域の損傷が考えられます。
また脊椎に沿って痛みや圧痛がある部位からも、損傷部位を推定できます。
MRI検査や、CTを使った脊髄造影検査によって、脊髄の圧迫部位とその原因がわかります。
椎骨の骨折や脱臼、椎間板破裂やヘルニア、異常な骨成長、出血、膿瘍、腫瘍などを発見できるからです。
圧迫の原因を特定でき次第、すぐに手術を行って脊髄の圧迫を緩和します。
手術を急がなくていい場合や手術が不可能な場合には、針による生検を行って、原因を突き止めます。
穿刺針はCT画像を見ながら患部まで進められます。生検は、異常増殖病変や腫瘍が癌であるかの判定にも用いられます。
脊髄圧迫 治療
脊髄の永久的な障害を防ぐためには、すぐに圧力を軽減しなければなりません。
神経経路が破壊される前に圧迫部位を特定して治療が行われれば、通常は機能が完全に回復します。
メチルプレドニゾロンやデキサメタゾンなどのステロイドを高用量で静脈注射すると、脊髄の内部や周囲の浮腫が抑えられます。
浮腫は圧迫の一因となるため、これらの薬はできるだけ早く投与されます。
しかし原因が外傷による場合は、8時間以内に投与すれば効果があります。
手術不可能の場合には、腫瘍による圧迫を軽減するために放射線療法が行われます。
血液、骨の断片、腫瘍、ヘルニアの起きた椎間板、異常な骨成長を取り除くには手術が必要です。
また脊椎を固定する治療も必要になるでしょう。
膿瘍による脊髄圧迫は緊急治療が必要です。
通常は神経外科医が膿瘍の膿を注射器で抜き取るか、あるいは手術で膿瘍を切除し、抗生物質が投与されます。
馬尾症候群とは
脊髄の下端から伸びている神経の束は、馬の尻尾と形が似ているために馬尾神経と呼ばれています。
馬尾神経が、椎間板の破裂やヘルニア、腫瘍、膿瘍、外傷による損傷、炎症による腫れ(たとえば強直性脊椎炎)などによって圧迫されたときに現れる症状を、馬尾症候群と呼びます。
腰の痛みを感じるほか、尻、太もも、膀胱、直腸を含む部位の感覚が鈍くなります(自転車などのサドルに接触する部位であることから、サドル麻酔と呼ばれる)。
このほか勃起機能不全(インポテンス)、夜間の尿失禁、足首の反射消失などの症状があります。
圧迫が非常に強くなると、膀胱や腸の機能が失われます。この症候群の患者はただちに治療が必要です。
ときには圧迫を起こしている原因を手術で治療し、腫れを抑えるためにコルチコステロイドが投与されます。
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2011年11月11日金曜日
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