グラム陰性桿菌であるサルモネラに感染すると、胃腸炎や局部組織の炎症が生じます。
サルモネラ属の種類は多く、腸チフスを起こす菌など約2200種が知られています。
どの種類も、胃腸障害、腸チフスとパラチフス、限局性の感染症の原因になります。
サルモネラは、腸チフスを引き起こす種類を除いて、家畜、野生動物、鳥、は虫類の消化管にすみつくため、汚染された食品(特に肉、卵、卵製品、原乳)が人への感染源になります。
また、は虫類のペット(ヘビ、トカゲ、カメ)も感染源になります。
サルモネラ感染症症状と診断
通常、サルモネラ感染症の症状は消化管に限られており、菌が体内に入ってから12〜48時間後に現れます。
吐き気とけいれん性の腹痛で始まり、水性の下痢、発熱、嘔吐が続きます。
たいていの場合、1〜4日で症状は治まりますが、長びくこともあります。
症状が消えてからも保菌者になって、長い間便から菌が出続けることもあります。
非常にまれですが、サルモネラが腸から血流に入り、骨、関節、心臓弁など別の部位に感染を起こすことがあります。
鎌状赤血球症の人は、特に骨への感染に注意が必要です。
腫瘍(しゅよう)に感染が起こると膿瘍ができ、そこが感染源となって血液への感染が続くこともあります。
診断は、感染者から採取した便や血液のサンプルを検査室で培養して確定します。
サルモネラ感染症治療
サルモネラによる胃腸炎は、水分補給と刺激の少ない食事で治療します。
抗生物質は回復を早める効果をもたないばかりか、菌が便に排出される期間を長びかせるので、基本的には使いません。
しかし、乳児、老人ホーム入居者、免疫力が低下している人の場合には合併症の心配があるので、使うことがあります。
症状の出ない保菌者の場合、感染症はやがて自然になくなるので、抗生物質による治療が必要になることはめったになく、またあまり効果的でもありません。
サルモネラが血液に入ってしまった場合は、抗生物質で4〜6週間治療する必要があります。
膿瘍があれば外科的に膿を出し、4週間の抗生物質治療を行います。
血管や心臓弁などの感染症の場合は、手術を行い、長期にわたって抗生物質で治療する必要があります。
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