2011年5月29日日曜日

消化管救急 『腹膜炎 』

腹膜炎は、通常は感染症を伴う腹腔と腹膜の炎症です。


腹膜炎は、腹腔内の感染した臓器から細菌を含んだ内容物が広がって起こります。


胃、腸、胆嚢、虫垂が穿孔して起こることが多く、


また別の部位からの感染が血流を介して腹膜へ広がることもあります。


腹膜(腹腔と臓器を覆っている膜)は感染には非常に強いので、


腹腔内細菌汚染が続かなければ、腹膜炎が進行することはなく、


治療によって腹膜も回復します。


性的に積極的な女性では、


骨盤内臓器の炎症性疾患が腹膜炎の原因であることがよくあります。


子宮や卵管の感染症は淋菌やクラミジアなど数種類の細菌によって起こり、


腹腔内へ広がります。


腹膜炎はいくつかの理由で手術後にも発症します。


手術中に胆嚢や膀胱、腸が傷つくと、細菌が腹腔内へ漏出したり、


腸の吻合手術時に内容物が漏れ、それらが原因で腹膜炎になることもあるのです。


腹膜透析(腎不全の治療)を受けている人にも、腹膜炎はよく起こります。


腹腔に留置したドレーン(排液管)を通して細菌が入ることが原因です。


肝不全や心不全では、腹腔に水がたまって(腹水)、それによって感染します。


腹膜炎は、感染症がなくても腹部臓器の炎症によって起こります。


たとえば膵臓の炎症(急性膵炎)により腹膜炎を発症することがあります。


また手術用の手袋についているタルク(滑石)やデンプンでも腹膜炎は起こります。


突発性腹膜炎は腹腔に水がたまっている(腹水)場合に起こります。


過剰な飲酒によって肝疾患を患っている人に多い疾患です。


この場合、腹水の感染は明らかな感染源がないのに起こります。




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