ウイルス感染-進行性多巣性白質脳症
進行性多巣性白質脳症は脳や脊髄に起こるまれな感染症で、JCウイルスが原因です。
進行性多巣性白質脳症の原因はJCウイルス感染で、主に免疫系が衰えている人がかかります。
たとえば、白血病、リンパ腫、エイズの患者、移植臓器の拒絶反応の抑制や、自己免疫疾患の治療に免疫抑制薬を使っている人などです。
エイズ患者の約4%が、この病気にかかっています。
進行性多巣性白質脳症 症状 診断
JCウイルスに感染しても、多くの人は何の症状も現れません。
JCウイルスは、免疫系の障害などのきっかけにより、活性化して増殖できるようになるまで、不活性状態で残っています。
症状は、脳や脊髄のどの部位が侵されたかによります。
症状の始まりはゆっくりですが、通常は急速に悪化します。
麻痺は通常片側に起こります。
両手の動きが急にぎこちなくなり、字が書きづらくなったり、ものがつかみにくくなったりします。
約3人に2人の割合で、精神機能の低下が急速に進み痴呆が起こります。
話ができなくなり、部分的に失明するのも特徴です。
まれに頭痛やけいれん発作が起こります。
多くは発症後1?6カ月以内に死亡しますが、それ以上(約2年)生存する例も少数あります。
さらに少なくなりますが、病状が数カ月間改善した後に10年も生存したケースもあります。
免疫系が大きく損なわれている人で、症状の悪化が進行する場合は、この病気が疑われます。
CT検査やMRI検査などの非侵襲的な検査が診断の確定に役立ちます。
しかしながら、診断はしばしば患者の死亡後に脳組織を検査したときに確定されます。
DNAに自己複製させるPCR法(ポリメラーゼ連鎖反応)を使えば、患者の最大90%で脳脊髄液中のJCウイルスを検出できます。
進行性多巣性白質脳症 治療
進行性多病巣性白質脳症の有効な治療法は見つかっていません。
しかし免疫系を阻害している病気を治療することで、生存期間は長くなります。
たとえば高活性抗レトロウイルス療法(エイズ治療に使われる抗ウイルス薬)などが用いられます。
免疫抑制薬の使用を中止すると、進行性多病巣性白質脳症の症状が治まります。
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