視力の異常
視力の異常には視力喪失、視覚のゆがみなどがあります。
視力喪失: 視力喪失とは、ものが完全にまたはほとんど見えなくなった状態です。
つまり視力喪失には、
(1)まったく何も見えない場合、
(2)明るいか暗いかの識別だけができる場合、
(3)ものの形がぼんやり見える場合―があります。
視力喪失では、視野の一部が失われることもあれば全部が失われることもあり、
また片眼の場合と両眼に起こる場合があります。
一時的な症状である場合も、永続的な場合もあります。
本人が視力の異常にどの段階で気づくかは、視力喪失のタイプや進行する速さなどに左右されます。
すぐに気づくケースもあれば、しばらくの間、気づかずにいるケースもあり、
交通事故などがきっかけで徹底的な視力検査を受けて視力喪失が発見される場合もあります。
完全な視力喪失は、片眼だけに起こることも両眼に起こることもあります。
原因として多いのは網膜への血流障害、糖尿病、視神経の病気、緑内障などです。
熱帯地域では、トラコーマのような感染症が原因になることもあります。
視力喪失には、視野の一部だけが失われるタイプも多くあります。
脳卒中を起こした人で、
視野の片側が完全に失われてももう一方の側はまったく正常という人もいます。
脳下垂体(大脳の下にあり、視交差の後ろに位置する)に腫瘍(しゅよう)がある人では、
視野の端の方ではものが見えず、中心部だけは正常に見える人がいます(トンネル視)。
片頭痛患者では、頭痛が起こる前に一時的に(通常は20分程度)視力異常が生じて、
視線より上、下、右、あるいは左の領域が見えなくなる人がいます。
黄斑変性では、自分が直接見つめているものが見えなくなりますが、
周辺の視野ではものを見ることができます(「眼の端」ではものが見える)。
糖尿病網膜症や高血圧網膜症など網膜に損傷を与える病気もたくさんあり、
その結果、視野の一部が不規則な形で欠損することもあります。
緑内障を治療しないでいると、周辺視野の一部欠損やトンネル視などが生じ、
そのままにしておくといずれは完全に失明します。
視覚のゆがみ: 視覚のゆがみとは、ものがはっきりと正確に見えなくなることをいいます。
症状としては、屈折異常、奥行き感覚の欠如、複視、
光の周囲にぎらつき(グレア)やにじみ(ハロ)が見える、
明滅する光や閃光が見える、飛蚊症―などがあります。
また、色覚異常もこれに含まれます。
屈折異常が起こると、ものがぼんやりとしか見えず、焦点が合いません。
屈折異常は、角膜や水晶体の形と眼の軸の長さが合っていないために起こります。
遠くのものだけがぼやけて見える場合は、近視といいます。
逆に近くのものだけがぼやけて見える場合は、遠視といいます。
中年期にさしかかると、近くに焦点を合わせにくくなってきます(老視)。
老視は、若いころの視力の良しあしには関係なく、だれにでも起こります。
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2012年1月15日日曜日
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