クリプトスポリジウム症は下痢を引き起こす腸管感染症で、単細胞の寄生虫であるクリプトスポリジウム‐パルバムによって起こります。
クリプトスポリジウムは、世界各地で人やさまざまな種類の動物に広く感染を起こします。
糞(ふん)で汚染された水や食べものを摂取したり、この寄生虫がついた土、人、ものなどをさわった手を口に入れたりして感染します。
クリプトスポリジウム症は、衛生状態の良くない開発途上地域に住む子供がよく起こす下痢の原因になっています。
こうした地域を旅行する人に感染が起こることもあります。免疫機能が低下している場合、特にエイズの人はクリプトスポリジウムに感染しやすく、重症になりがちです。
クリプトスポリジウムの卵に相当するオーシスト(接合子嚢)は非常に頑丈で、水面などによく存在します。
多くの家畜もこの寄生虫を宿しています。
クリプトスポリジウムは冷凍しても死なず、プールや飲み水の消毒に使用される通常の濃度の塩素では死滅しません。
クリプトスポリジウム症 症状 診断
症状は、感染後7〜10日目から主にけいれんと水性の下痢が起こることで始まり、嘔吐、発熱、脱力感を伴うこともあります。
下痢の症状は、軽いものから重症なものまでさまざまです。
エイズ患者では、1日あたり約12〜15リットルもの水様便が出ます。
クリプトスポリジウム症は便のサンプルを検査して診断します。
クリプトスポリジウム症 予防 治療
クリプトスポリジウム症は、適切な衛生状態を保ち、手洗いを励行することで予防します。
このことは医療施設やデイケアセンターでは特に重要で、土や動物をさわったり、感染者と接触したりした後も手洗いが大切です。
地域で集団感染が起こった場合、公衆衛生当局により、飲み水(歯磨きや食材を洗うときに使う水を含む)は沸騰させてから使うこと、加熱調理されたもの以外は食べないこと、殺菌していない牛乳やジュースは飲まないことなどの指導が行われます。
瓶詰めの水も安全とは限りません。
浄水器は、逆浸透膜フィルターを使用しているもの、1ミクロンの粒子を除去できるもの、クリプトスポリジウムなどのシスト除去レベルを満たすものなどは効果がありますが、それ以外のフィルターは安全ではない可能性があります。
免疫システムが正常であれば、自然に治ります。
激しい下痢がある場合は、経口または点滴による水分補給や、ロペラミドなどの下痢止め薬による治療が必要になります。
下痢を伴う患者中のクリプトスポリジウムを死滅させる薬剤はまだ見つかっていません。
エイズの人では、抗レトロウイルス療法で免疫機能を改善させ、クリプトスポリジウムによる下痢症状を緩和させることはできますが、感染はずっと続くことがあります。
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