前頭葉の中央部分がダメージを受けると、眼球を動かす、複雑な動作を正しい順序で行う、言葉を話すなどの機能が障害されます。言葉を話す能力の障害は、表現性失語と呼ばれています。
前頭葉の前部が損傷すると、集中力がなくなり流暢に話せなくなる、質問に対して無関心・むとんちゃくになり反応が遅くなる、あるいは社会的に不適切な振る舞いを含む自制心を欠いた行動を取る、などが起こります。
自制心が働かなくなると、異常に陽気になったり、落ちこんだり、極端に論争的になったり、消極的になったり、あるいは下品になったりします。
自分の行動がもたらす結果に関心がないようにみえ、何度も同じことを話したりします。
頭頂葉の損傷: 片側の頭頂葉前部が損傷すると、反対側の体にしびれと感覚障害が起こります。
患者は感覚の位置と種類(痛み、熱さ、冷たさ、振動など)を識別するのが困難になります。
頭頂葉後部への損傷は、左右の方向がわからなくなったり、計算や絵を描くことができなくなったりします。
右頭頂葉へのダメージは、髪の毛をブラシでとく、服を着るなどの簡単な動作ができなくなる失行症の原因になります。
頭頂葉に突然ダメージを受けた人は、その障害の深刻さを無視して、体の反対側のけがの存在に気づかなかったり、否定することさえあります。
さらに錯乱やせん妄が起きたり、自分で服を着るなどの日常動作ができなくなります。
側頭葉の損傷: 右の側頭葉へのダメージは、音や形の記憶を障害する傾向があります。
左の側頭葉が損傷を受けた場合は、言葉の記憶や言語の理解能力が著しく低下します(受容性失語)。
側頭葉の一部が損傷すると、ときには人格が変わってしまって、堅物になったり、狂信的になったり、性欲がなくなったりすることがあります。
後頭葉の損傷: 後頭葉には、重要な視覚情報を処理する中心があります。
後頭葉の両側が損傷すると、眼球自体は正常に機能しているのに眼が見えないという皮質盲が起こります。
皮質盲の人の中には、自分の眼が見えないことに気づかない人もいます。
後頭葉の前部が損傷すると、見慣れているものや人の顔を認識できなかったり、見えたものを正確に判断できなくなったりします。
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