真菌とは人に感染することのある植物の1種です。酵母やカビ、キノコ類はみな真菌です。
真菌の中には、ごく小さな胞子をまき散らして繁殖するものがあります。
これらの胞子は空気中に浮いていることが多く、吸いこまれたり体の表面に付着するため、真菌感染症の多くは肺や皮膚から始まります。
無数にある胞子のうち、皮膚に付着したり、肺に吸いこまれたりして人に感染を起こすものは、ごく一部にすぎません。
皮膚表面の状態にもよりますが、人から人にうつる真菌感染症はほとんどありません。
カンジダなど、真菌の中には、体の表面や腸内に普通に存在しているものもあります。
普段は無害ですが、皮膚や爪、腟(ちつ)、口、副鼻腔に局所的な感染症を起こすことがあります。
ただし、免疫機能が低下している人や、体内に静脈カテーテルなどの異物を入れている場合以外は、重症になることはほとんどありません。
ときに、真菌をチェックし抑えている正常なバランスが崩れることで感染が生じます。
たとえば、消化管や腟に普通にみられる細菌は、ある種の真菌が増殖するのを抑えています。
ところが、抗生物質を使用すると、こうした有益な細菌まで死んでしまい、逆に真菌が増えることになります。
真菌が増えすぎると何らかの症状を引き起こすことがありますが、一般に軽症です。
細菌が元通りに増えると、バランスが取り戻されて症状もなくなります。
ヒストプラスマ症、ブラストミセス症、コクシジオイデス症などの真菌感染症は、健康な人にも重い症状を起こします。
特定の地域によくみられる真菌感染症もあります。
真菌感染症の多くはゆっくり進行するので、受診するまでに何カ月も、場合によっては何年もたっていることがあります。
免疫機能が低下している人(臓器移植を受けた人、免疫抑制薬による癌[がん]治療を受けている人、エイズ患者など)では、真菌感染症は急激に進行し、他の臓器へも急速に広がって死に至ることも少なくありません。
真菌感染症に有効な薬剤はいくつかありますが、真菌はその構造と化学組成から、容易には殺すことができません。
抗真菌薬は、感染症が起きている皮膚、腟、口内などに直接塗ります。
重い感染症には、経口または注射で投与することもあります。
治療にはしばしば数カ月を要します。
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2011年2月11日金曜日
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