骨折 治療
骨折は痛みを伴い、機能の喪失を引き起こすため、緊急の手あてが必要です。
初期救急治療を行った後は普通、ギプス固定、けん引、固定手術などを行います。
小児の骨折は一般に、成人の骨折とは治療方法が異なります。
小児の骨は成人の骨よりも細く、弾性と柔軟性に富んでいるからです。
最も重要なのは、骨がまだ成長過程にあるということです。
小児の場合は、成長板への損傷を避けるために、手術よりもギプスやけん引による治療が行われます。
初期治療: 骨折が疑われる場合には、かかりつけの医師に適切な病院を紹介してもらう必要があります。
損傷の重症度により選択する病院が異なります。
たとえば、手首や肩の軽い骨折ならば、外来で治療を受けることができます。
股関節の骨折では痛みがひどく動けないため、救急車で手術設備の整った病院に行った方がよいでしょう。
開放骨折にはただちに手術を行い慎重に傷口を洗浄し、ふさぎます。
大きな開放骨折に皮膚や筋肉、骨への血管の大幅な損傷を伴う場合はきわめて重傷で、治療が難しくなります。
ほとんどの皮下骨折は、ギプスや手術による治療の開始を骨折後1週間まで遅らせることができます。
治療を待つ患者には疼痛や機能低下のつらさは生じますが、この範囲内の遅れは長期的結果には影響を与えません。
ただし、治療を遅らせることによるメリットはありません。
医師に診てもらうまでの応急処置としては、身近なものを利用した応急のそえ木やつり包帯、枕などを使って患部の腕や脚を固定し、支えます。
腕や脚は心臓より高くして腫れを防ぎ、氷をあてて疼痛や腫れをコントロールします。
鎮痛薬にはアセトアミノフェンのみを使用します。アスピリンやその他の非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)は出血を悪化させるため、使用を避けます。
骨折した腕や脚は腫れ防止のために高く上げます。腕の骨折の場合、枕を使用して高くします。
脚の骨折の場合は、定期的に横になって脚の下に枕を入れます。
医師は、骨折した手脚を骨折していない側と見比べて、どの程度の時間、またどの程度の頻度で高く保つ必要があるのかを決めます。
治癒の過程の終盤になって、日中立ったり座ったりして過ごすときは、患部の腫れを防ぐために弾性ストッキングを着用します。
固定: ほとんどの骨折は手術以外の方法で治療を行います。
骨折は十分によくなるまで、そえ木、つり包帯またはギプスで固定します。
折れた骨がずれている場合(転位骨折)は、固定する前に骨をあるべき位置に戻します(整復)。
指や手首などの小さな骨折の場合は、必要に応じて局所麻酔薬(リドカインなど)の注射で痛みを抑えて整復を行います。
腕、肩、脚などの大きな骨折を整復する場合は、全身麻酔や脊椎麻酔が必要になることがあります。
そえ木(副子)として使われる医療用の固定具(スプリント)は、石膏やグラスファイバーでできた細長い板で、これを弾性包帯やテープで骨折部位に固定します。
患部全体を覆うことはなく、組織に腫れが生じても圧迫を起こさないので、骨折の初期治療によく使われます。
手の指の骨折には、アルミニウム材をポリウレタンなどで覆った固定具がよく使われます。
つり包帯は、肩やひじの骨折を支えるために使われます。
腕の重さで下向きに引っぱられることで、肩の骨が正しい位置に収まります。
腕がぶらぶらするのを防ぐため、つった腕をストラップで胴体に固定する場合もあり、夜間などによく行われます。
つり包帯をした状態で、多少は手を使うこともできます。
ギプスは、細長い帯状の石膏またはグラスファイバーを骨折部位に巻きつけ、湿らせて固めます。
転位骨折の初期治療には普通は石膏ギプスを使います。
石膏ギプスは成形しやすく、体とギプスの接触面に痛みを生じにくい性質があります。
グラスファイバー製のギプスは、石膏製に比べて強く、軽く、長もちするという利点があります。
どちらのギプスも裏地には柔らかい綿のような素材が使用されていて、皮膚の圧迫やまさつを防ぎます。
ギプスを濡らしてしまうと、裏地まで完全に乾かすことができないため、皮膚がふやけて傷つくことがあります(浸軟)。
骨折が治りかけてきた段階では、患部の保護機能は低い代わりに防水性に優れた特殊な裏地をギプスに使用することもありますが、この裏地は通常のものより高価です。
ギプス装着後(特に最初の24~48時間)は患部をできるだけ心臓より高く保ち、腫れを防ぐようにします。
定期的に指の曲げ伸ばしやつま先を小刻みに動かす運動を行うと、手足からの血流が改善され、腫れを防ぐのに効果的です。
疼痛、圧迫感、しびれが持続するか徐々に悪化する場合は、ただちに医師に連絡します。
このような場合は褥瘡(床ずれ)やコンパートメント症候群を起こしかけている可能性があります。
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2011年7月3日日曜日
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